多目的トイレが設置されているエレベーターホールの間取り(イメージ図)
芸人としてのキャリア、夫としての信頼も、すべてを失いかけた渡部。その象徴とも言えるのが、不倫の“現場”となった多目的トイレだった。騒動直後、不正利用を防ぐため、トイレの前に警備員が常駐し、利用者を厳しく監視する警戒態勢が敷かれたという。
NEWSポストセブン取材班が始まりの場所の同トイレを訪れると、驚くほど当時のままだった。
現場は「完璧な死角」に
予想に反し、駐車場には多くの車が停まっており、人の気配も少なくない。しかし、誰一人として、トイレに奇異の目を向ける者はいない。かつて日本中の注目を集めた場所だとは、思いもしないのだろう。
当時の報道では「エレベーターの前で落ち合って、トイレの鍵を閉めた瞬間、すぐに始まりました」という生々しい証言が記されていた。取材班はその動線をなぞるように、駐車場からエレベーターホールへと向かってみる。すると、ある事実に気づかされる。
エレベーターの前から、左斜め後ろを振り向くような不自然な体勢にならない限り、多目的トイレの様子をうかがい知ることはできないのだ。
では、逆の動線、駐車場からエレベーターへ向かう場合はどうか。こちらも、多目的トイレとの間に絶妙な角度がついており、仮にトイレのドアが全開になっていたとしても、中を覗き見ることは不可能に近い。見えたとしても入り口付近がやっとで、内部の様子は完全に「死角」となっている。
計算ずくの場所だったのか、あるいは単なる偶然か。この多目的トイレは、人目を忍ぶにはあまりにも好都合な構造をしていた。