ほとんどの炊き出しボランティアはまっとうに運営されているのだが……(写真提供/イメージマート)
「実際、頭があがらない先輩が先導切ってやるからっすね(笑)。ボランティアも炊き出しも、みんな誘われて、というか強制で。まあ、若い時から先輩のことは尊敬してるんで。あと、いい事やると気持ちいいんですよ、単純に。昔はバカだったんで、少しでもいいことしとかないと、ろくな死に方しねえよなって」(炊き出し関係者の男性)
この、ヤンキー系の方々による「炊き出し」だが、実は東京や神奈川をはじめ、大阪などでもちらほら見かけ始めるようになってきた。事情に詳しい雑誌カメラマンの男性がいう。
「特に、SNSで有名な不良系のインフルエンサーが主催しているとされる炊き出しなどは有名で、大阪では、あの某有名メジャーリーガーの弟が参加する炊き出しもあります。炊き出しを求めて並ぶ人の他にも、野次馬なども集まりちょっとした騒ぎになることもありますし、様子が雑誌に載ったり、SNSにアップされてバズることもある。不良集団にとっては、いいことをして自分たちの名前が売れれば気分もいいでしょうから」(雑誌カメラマン)
たとえ元不良であっても、手間も時間も金もかかるボランティア活動は称賛されるべきだろう。だが、不良の世界から抜け出すことができないまま、かつての仲間の行動を無にするような人たちがいる。最近、これを「シノギ」として掠め取ってしまおう、利用しようという不埒な輩たちが暗躍しているというのだ。前出、炊き出し関係者の男性が証言する。
「並んでる人に、生活保護をすすめてタコ部屋に送るんすよ。いわゆる貧困ビジネスの”素”になる人間を、炊き出しを口実に誘い込む。炊き出しの主催者の中に、そういうリクルーターが入り込んでるし、普通に現役の暴力団員が勧誘していたこともありました。俺らはそういうのが嫌で、先輩と一緒に別で活動やるようになったっすね」(炊き出し関係者の男性)
リクルーターの誘いに応じたホームレスへ住む場所を与え、生活保護の申請を手伝ったのち、住居の家賃や光熱費などと称して支給される生活保護費の大半を取り上げるのが、貧困ビジネスで金儲けをする者たちのやり口だ。彼らが「寮」と称する集合住宅は、たいてい寝るだけの粗末なもので、「タコ部屋」と呼ぶしかない。数年前、生活保護費の受給日になると、役所へ横付けされたバスから元ホームレスたちが次々とあらわれる異様な様子が報道されて社会問題化し、詐取された生活保護費の返還などを求めた訴訟も相次いでいるが、貧困ビジネスのシステムはいまも現役だ。