パレードカーの貸与が継続されることに
また、優勝パレードをめぐっても興味深い巡り合わせがあった。今回は優勝した琴勝峰の横で、兄弟子である大関・琴櫻が優勝旗の旗手を務めたことが大きく報じられた。旗手は番付下位の力士が務めるのが原則。琴勝峰の場合、弟である関取の琴栄峰が務めるものと見られていたが、大関の登場で大騒ぎとなった。前出・相撲担当記者が言う。
「師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇・琴ノ若)が、琴櫻に旗手をさせることで大関の闘志に刺激を与える目的があって命じたものだった。佐渡ヶ嶽親方は狙ったわけではないだろうが、結果として話題にあまりのぼらなかったのが優勝パレード用のオープンカーです。
特別仕様のトヨタ自動車の最高級車・センチュリーが使用されたが、5月場所後には一時、白鵬の退職に伴って使用できない可能性があった。トヨタがオープンカーを貸与することになったのは、豊田章男会長と白鵬の親交が深いことによるものであって、退職後の株主総会での質疑応答で豊田会長は相撲協会に貸与した車を引き取ることを示唆していた。ただ、その後は若手親方衆に頼まれる形で白鵬が尽力し、改めて貸与が実現した経緯があるのです」
平幕優勝で旗手が大関、という異色の話題がなければ、このパレードカーの経緯もよりクローズアップされた可能性がある。「結果として退職した白鵬の存在感がかき消されることになり、協会サイドにとっては好都合な展開となった」(同前)されているわけだ。