子どもたちは父の事をリスペクトして“清志さん”と呼ぶ
3男が1700万円持ち逃げ…家族全員で返済する
長女・愛美(まなみ、33)さんは、ホテルに勤務しており、整体師の勉強をしていた長男・新志(あらし、32)さん、料理人だった次男・熱志(あつし、30)さん、プロレスラーを目指していた四男・源志(げんし、28)さん、あのころ、子どもだった面々もそれぞれ社会に出て立派に働いている。長男・新志さんについては近々フランチャイズ店を出店することが予定されており、生活も安定しているようだ。しかし、三男・武志(むさし、29)さんだけは現在消息が不明だという。
「武志は当時働いていた会社で、1200万円程度を使い込みました。理由は結婚した相手となかなか子どもができなくて、不妊治療をしていたと。当時は1回20万円程度の費用が掛かっていたらしく、会社のお金に手を出せるポジションにいたので、手を出してしまった。
私は“下げられるところに頭を下げておけ”と言って、家族みんなでお金を返そうと電話で話していました。それをその会社の役員の方がスピーカーで聞いていたみたいで、“息子さんのことを1回も怒らず、家族みんなで返済しようという話に感動しました。返してくれれば何も無かったことにします”と言ってくれました」
こうした会社の計らいに胸をなでおろした林下氏だったが、事態は最悪の方向へ。
「それなのに……武志はギャンブル(競艇)でお金を増やそうとして会社からさらに500万円を持って逃げたんです。合計1700万円は使い過ぎですよ。でも家族と協力して、昨年すべて完済することができました」
家族を裏切ったことは許せないが、それでも多額の借金を返すという決断を下した理由は何だったのだろうか。
「1度福岡に逃げて、そこから連れ帰して私が店長をしていた居酒屋で働かせましたけど、勤務態度もよくなかった。(武志は)四男の源志とは連絡を取っているみたいで、神奈川県にいるという話は聞きましたが、今は音信不通です。
もう10年近く、消息不明ですかね。この10年間思い出したこともないですし、今だって、目の前に出てきたら殴ってやりたいですよ。でも私が死んだあと、もしひょっこりと兄弟の前に姿を現したらまた家族の付き合いがはじまる可能性もあります。だから優しさではなく“親としての責任”として、あいつの尻拭いをしたんです」