長く薬物依存症のリハビリを続けている田代まさし氏(68)
長く薬物依存症のリハビリを続けている田代まさし氏(68)。刑務所生活では絶望を感じることもあったというが、今も「なんとか生きている」と話す。一方で、身近な家族や慕う人たちをすでに何人も亡くし、見送ってきた。そんな田代氏は、自分の「終わり」について、どう向き合おうとしているのか。田代が考えるこれからの人生の過ごし方と「終活」について、話を聞いた。【全3回の第3回。第1回を読む】
今のほうが病んでいる人が多い
──時代の寵児だった田代さんに、今の時代はどう映りますか。
最近、昭和の歌がいいっていう人も多いじゃない。わかりやすいメロディーがいいのかなあ。そう、昔はわかりやすい時代だった。今は何から何までわかりづらい。何に対してもコンプラだとか、なんとかハラとかで、制限されるじゃない。その結果、今のほうが病んでいる人が多いような気がするね。
俺は今まで、“自分さえ良ければ”という考えで薬を使ってきた。でも、今を生きる誰か、生きづらい誰かの役に立つことができれば、死ぬ前に「取り返しのつかないこともいっぱいあったけど、俺の人生はそんな悪くなかったな」って思えるかなと。終活としてはそんなことを意識してる。
(薬物依存症のリハビリ施設である)ダルクで言われたのは、仲間たちの手助けをすることが回復へのいちばんの近道だって。だからこれからの余生は、自分が助けられたことを糧に、誰かを助ける側に回れたらいいなと思っている。