家宅捜索が行われた東京・港区の新浪会長の自宅
この新浪氏の発言は2021年当時「会社に頼らない姿勢」の必要性を述べるためと釈明があったが多くが苦しむコロナ禍のさなかということもあって大炎上となった。
元々は経済同友会の席で日本経済を発展させるための意見として新浪氏が提案したもので、人件費を抑えたいとか若者以外は使い捨てにしたいという大企業の経営者側の思惑に沿った発言、といった趣旨だが国民全体の耳に入れば大炎上は必然である。
次に契約社員として勤める40代女性の言い分。
「子育てと介護を抱える私にとって生活は厳しいものです。多くの人たちが大なり小なり、働きながら生活をやりくりしています。福祉政策について経済界のトップが社会保障の削減を主張する、いくらなんでもそこまで言うかと思いました」
これは2023年に政府が児童手当の所得制限を全廃するとした決定に新浪氏が「大反対」と会見したものだ。もっとも経団連も日本商工会議所も同様に「反対」だったため新浪氏だけではない。しかしそれまでの舌禍というか、一石を投じる歯に衣着せぬ発言のせいか、とくに新浪氏が一般国民の集中砲火を浴びる結果となった。「AIで社会保障の費用を削減」もまた火に油を注ぐことになったように思う。
20代男性は「経営者としての新浪さんの実績や立場はわかる」としながらも当時のマイナンバー推進についての発言についてこう語る。
「廃止を『納期』とかわけわかんないこと言ってましたよね。で、それが日本文化とか。健康保険証廃止についてはいろいろ意見はあるのでしょうけど、なんか政府への忖度というか、ウケ狙いばっかりの印象なんですよね」
マイナ保険証問題については措くが、この2023年、新浪氏の発言によってSNSを中心にサントリー不買運動まで起きてしまった。その効果の是非は別として新浪氏、政治家や官僚ならともかく一般消費者を相手にするサントリーの経営者としては厳しい非難を受ける立場となった。それ以前にあった政治問題「桜を見る会」にサントリーが商品を無償提供していた件もあって火がついた格好だ。
ちなみに新浪氏、政府への忖度とか決してそういった面ばかりではない。LGBTQ+に対する理解推進のために「LGBT理解増進法案」を出すべきと政府に訴えたり、各企業が性的少数者のために行動を起こすべき、同性婚賛成と明言したりもしている。