「二歩」で負けるなど、話題に事欠かなかった(時事通信)
裁判長「私は将棋はよく知らないけど、A級(プロ棋士のトップリーグ)というのはすごい才能があって、これを活かさず、社会から消えてしまうのは、社会全体で見てもったいない気がする。『誰が悪い』と言い続けても前に進めないと思うので、前向きな人生を歩んでもらえないかな」
最後の言葉は橋本被告にどのように感じただろうか。
判決の中で、橋本被告が認めなかったAさん、Bさんへの殺意は認定された。一方で、臨床心理士との面談などで相談の必要性に気付いた点、母親の支えに一定の期待が持てるなど、橋本被告に有利な情状も採用された。傍聴席に駆け付けた多くの傍聴人のなかにも、同様に支えとなりたいと思う人物がいるかもしれない。
橋本被告には、服役の期間に償い、次なる人生への一歩とすることができるだろうか。そして長く苦しんだAさん、Bさんにとっても、この期間が新たな一歩へ繋がることを願わんばかりだ。
(了。前編から読む)