事件とは別のクマだが、5発ほど打ち込んだが筋力や生命力が強かったという
軽トラに突進してきたクマ
秋田県横手警察署の佐々木行雄副署長はこう話す。
「まず、被害者らがクマに襲われる1時間ほど前に、現場から400メートル離れた林道脇でクマが目撃された。目撃した男性は軽トラのクラクションを鳴らしたそうです。普通は大きい音を鳴らしたら逃げるのですが、そのクマは向かってきたみたいなんです。
さらにクマは車に体当たりしてきて、フロントについていたフォグランプ(補助灯)をもぎ取ったと。そのあと、山の方へ逃げていったそうです」
佐々木さんらを襲う前から、獰猛な様子をみせていたというクマ。この副所長も「クラクションを鳴らしても向かってくるあたり、今までとは違うクマなのかなと思う」と漏らす。
幸い、目撃者の男性は無傷で済んだ。その約1時間後、このクマと同一個体かどうかは県警が調査中だというが、「人工音を怖がらないクマ」が集落を襲撃した。
「亡くなられた佐々木さんが家にいたところ、外から叫び声が聞こえてきて、母親と外に出たら人が1人が倒れていた。佐々木さんは母親に『家さ戻れ』と伝え、今度は心配した旦那さん(佐々木さんの父親)が様子を見にいったようで、息子と一緒に襲われたという流れです。
最初に襲われたのはご夫婦なんですが、現場近くに奥さんの実家の畑があった。畑の付近に車が停まっていて、その周りに男性3名、女性1名が倒れていたそうです。佐々木さんは発見時すでに意識不明、ほか3名は意識はあるけども、1名は会話ができない状態だった。重傷の3名についてはすでに処置が終わっており、容体も安定しているそうです」(同前)
一気に4人を手にかけた“殺人グマ”。「クマは臆病で、大きな音が苦手」というのが俗説だが、今回4人を襲ったクマは、人工音を聞いてもほとんど怖気づかなかったようだ。村の産業振興課の担当者も「珍しい個体かもしれない」と話す。
