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「生きてる実感のための儀式だった」元加害者が明かした“再犯を繰り返す心理” 記憶の奥にあった「小学4年で近所の男性から受けた性暴力」

既婚かどうかは「痴漢」をしない理由にならない(イメージ)

既婚かどうかは「痴漢」をしない理由にならない(イメージ)

 いちど逮捕されても、性犯罪を繰り返してしまう例は少なくない。すこし古いデータになるが、法務省「平成25年版犯罪白書」によると、調査対象となった性犯罪事件の加害者のうち、裁判確定から5年が経過した時点における再犯率(罪名問わず)は13.9%だったことが明らかになった。これは、性犯罪者のうち7~8人に1人が再度犯罪に手を染めてしまうという数字である。なぜ繰り返してしまうのか、その心理とは──。

 朝日新聞取材班『ルポ 子どもへの性暴力』(朝日新聞出版)よりお届けする(一部抜粋して再構成)。【全3回中の第3回。第1回から読む】

※この記事では性暴力被害の実態を伝えるため、被害の詳細について触れています。

* * *
「やめたくてもやめられなかった」

 関東に暮らす男性(58)は、子どもや若い女性を狙った痴漢や露出行為を約30年繰り返した。長い間、大手上場企業に勤め、職場では人材育成担当の頼れる社員、家ではいい父親を演じてきた。一方で、通勤電車の中で性犯罪を繰り返した。

「まさに、ジキルとハイドでした」

 満員の電車に乗るたびに少なくとも4~5人を物色した。「1年に250日出勤して計2000人。20年勤務したので4万人。少なく見積もって」と男性は言う。

 高校1年のとき、通学する満員電車の中で、向かい合った女子中学生のカバンを持つ手が、男性の下半身に密着した。思わず勃起した。興奮と緊張が体を突き抜けた。以降、男性はカバンを持つ女性の手に股間を押しつけるようになった。やがて露出にもはまった。大学生のとき、道で露出していると、通りかかった女子高校生がわざわざ目の前に来て、ケラケラと笑った。気分は最高だった。《男として自分の性器が認められた》と思った。露出行為は、自己肯定感につながった。

 小学生の女の子4人に声をかけ、自宅に連れ込んだこともある。汗をかいたからと言って一緒に風呂に入った。1時間ほどで解放したが、近くの公園で子どもたちを探す保護者たちの姿が見え、逮捕の恐怖に震えた。「彼女たちは無事に成長しただろうか」。男性は悔恨の念を抱きながら振り返る。

 最初の逮捕は19歳のときだ。本屋で立ち読みしている女子高校生のお尻を触り、警察に突き出された。警察署では「何もしていない」と否認し、迎えに来た母にも「僕はやっていない」と言い続けた。《バレたら見捨てられる》との一心だった。結果は不起訴。そうなると、今度は、たとえ捕まっても大したことにはならないとの思いが頭をもたげてきた。男性自身、自分が痴漢行為をやめたいのかどうかもわからなくなった。

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