熊は非常に知能が高く、追跡するベテランの猟師をだまして、不意打ちで襲ってくることもしばしばあるという
一撃で猟師の命を奪ったのちに、熊も銃創による出血で死亡
【熊撃ち猟師ヒグマ相討ち事件】
発生年月日:1974年11月11日
発生場所:北海道斜里町
犠牲者数:死者1名
熊種:ヒグマ
1974年11月11日の朝、一人の猟師が「ヒグマを撃ちに山へ入る」と家族に伝え、斜里町郊外を流れる幾品川沿いの森林地帯へ向かった。起伏が激しく笹の生い茂ったロケーションは熊の棲みかに最適で、この辺りでは同年の秋頃から熊の目撃が頻発していた。熊は周辺のジャガイモ畑などを荒らし回っていて、猟師は以前からその駆除を依頼されていたという。前夜には雪が降っていて、足跡を追いかけるには絶好のコンディションだった。
だが、その日、猟師が帰ってくることはなく、翌日には家族が捜索願いを出した。だが、さらに翌日、猟師は遺体となって発見されることになる。それと同時に加害したと思しき熊も、猟師の遺体から40メートルほど離れたところで仰向けになって死んでいた。
現場検証の結果から、次のようなことがあったと考えられた。
まず熊を発見した猟師が猟銃を一発撃ったが、完全には急所を捉えられなかったようで、熊は逃げ出した。猟師はこれを追跡したが、熊が茂みの中に隠れているのを見逃して、その前を通り過ぎていった。これを見た熊は猟師の後ろから襲いかかった。この一撃で猟師を倒した熊だったが、銃撃による出血は続いていて、これが肺などに溜まって呼吸ができなくなって絶命した──。
双方相討ちの結末となったわけである。猟師が熊にやられてしまうことは、決して珍しい話ではない。1971年11月には北海道滝上町の酪農家からの依頼を受けて出動した猟師歴40年を超えるベテランが、熊の不意打ちに遭って殺されている。
雑木林に逃げ込んだ熊を追いかけて薄暗がりの中を進んだベテラン猟師だったが、経験むなしく熊の反撃を受けてしまった。残された銃の安全装置が外されていなかったことから、よほどの不意打ちだったことがうかがえる。遺体は土や笹の葉に覆われていて、食害の痕跡が見られたという。
