上京して間もない頃の田村亮を振り返る(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、生放送で解散を発表したロンドンブーツ1号2号こと、田村淳と田村亮について。
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私のこの胸に小さな衝撃が走った。生放送でいきなりの「ロンドンブーツ解散」である。淳の十八番の視聴者まで巻き込んでの“どっきり”かと思ったらそうでもないらしい。
ロンブーは本当に早くから売れに売れた。漫才などやってる間もなく即テレビスターである。“武勇伝 武勇伝”のオリエンタルラジオもダッシュが凄かったがロンブーの凄さにはかなわない。「ガサ入れ」などのやんちゃ振りには腹を抱えて笑った。吉本なのにまったく関西臭がない。目から鼻に抜けるスピードの早さは「ヘイッカール」並みの淳。スタート当時は進行とつっこみを亮がやっていたが、いらつく淳に変わったら爆笑が十倍以上とれる様になった。以来亮は「ロンブーの笑顔担当」になった。
山口出身の淳、大阪でも京都寄りの高槻出身の亮。共に苗字が「田村」というのも奇遇だ。KinKi Kids(現・DOMOTO)もたしか他人なのに共に「堂本」。珍しい。もっと不思議なのはナイツで苗字が塙と土屋なのに名前が共に「ノブユキ」。宣之と伸之である。
ロンブーは大阪へ出ずいきなり東京へ。互いにまったく売れない。仕事がない。そんな時よくゴハンを食べさせてくれたのが松村邦洋だという。「同じ山口出身、ガンバレよ」という気持ちだろう。この話、昔きかされて、この私が泣きそうになった事がある。淳にゴハンを食べさせた次の日、朝松村がアパートを出ようとすると必ずドアノブに菓子パンがふたつ入った袋が下げてあり「ごちそうさま」のメモ。それがいつもである。ちゃんとした子だったのである。髪の毛の色でだまされちゃいけない。
亮もライブのロビーなどで私を見つけると仕事をした事もないのにすっとんで来て、思い切り礼をして「ロンドンブーツの亮です」(知ってるっちゅーの)。礼儀正しいのだ。
淳が吉本を辞めようとした時、例の「闇営業」問題が起き(WITH宮迫)亮も会見。それにしてもこの「闇営業」という言葉、何とかならないか。暗いし汚い。大阪独特の言いまわし。東京では古来より「ショクナイ」(内職を逆にして)とサッパリ。昔は歌手だって私だってやっていた。様々な事があって今。
体も心配でラジオのゲストに来てもらったらそこにはやたら元気な亮。「釣りとか車とかマラソン、プロレスで毎日色々忙しくしてます。狩猟免許もあったんですが昨年失効しちゃって」。「あれば今頃熊相手に忙しくなってたのになあ。まあ何にしても唯一苦手だった“笑い”を仕事にしちゃったので遠まわりしたって訳だ」「よくお分かりで」。行け1号2号。
※週刊ポスト2025年12月12日号
