サークルオブライフについて振り返る調教師・国枝栄氏
1978年に調教助手として競馬界に入り、1989年に調教師免許を取得。以来、アパパネ、アーモンドアイという2頭の牝馬三冠を育てた現役最多勝調教師・国枝栄氏が、2026年2月いっぱいで引退する。国枝調教師が華やかで波乱に満ちた48年の競馬人生を振り返りつつ、サラブレッドという動物の魅力を綴るコラム連載「人間万事塞翁が競馬」から、サークルオブライフについてお届けする。
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今週は2歳牝馬のチャンピオンを決める阪神ジュベナイルフィリーズ(JF)が行なわれる。牝馬の目標は3歳春の桜花賞だが、同じ阪神競馬場のコースで行なわれるため、できれば経験させておきたい。勝てば「最優秀2歳牝馬」の栄誉も与えられる。
抽選をくぐれば1勝馬でも出走できることがあるが、1勝クラスをクリアしていればまずは出走可能。管理馬ヒズマスターピースが11月の2歳1勝クラス赤松賞を勝ったので参戦する。国枝厩舎は赤松賞6勝目、過去アパパネ、アカイトリノムスメ、ステレンボッシュと、後のGI馬もこのレースを勝っている。能力通りの結果になることが多い東京マイルで行なわれるため、大きいところを狙えるかどうかの試金石にもなるのだ。
ヒズマスターピースが勝てば牝馬GIの勝利記録が調教師歴代1位になるそうだ。無理なく逃げを打つことができ、それでいてムキになって走ることがない馬なので密かに期待している。
国枝厩舎は2009年にアパパネ、そして2021年にはエピファネイア産駒のサークルオブライフと阪神JFを2勝している。エピファネイアは当初の種付け料は250万円。しかし、この前年の三冠牝馬デアリングタクト、さらにエフフォーリアやサークルオブライフの活躍などで2022年には1800万円まで上がった。サンデーサイレンス(SS)が母の父の父と3世代前なので、SSの血が入っている牝馬との交配に無理がなくなったのも大きかったのだろう。
サークルオブライフも母の父の父がSSで4×3のいわゆる「奇跡の血量」。写真を見てもらえば分かるようにアイドル顔負けの美少女だ。走ることに前向き、性格も素直でレースセンスのいい馬だった。
