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日中激突「尖閣有事」シミュレーション

《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野

「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)

「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)

 中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射により、さらに緊迫の度を増している日中関係。訓練の事前通告をめぐっても日中の言い分は真っ向から対立している。緊張が高まるなかで懸念されているのは「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる事態である。その時、一体何が起きるのか、シミュレーションする。【全3回の第1回】

尖閣諸島は中国北海艦隊の進行ルート

 中国が日本への軍事的圧力を一段と強めている。

 ミサイル駆逐艦を随伴した中国北海艦隊の空母「遼寧」打撃群は沖縄南方海上の第一列島線を越えて太平洋に進出後、日本本土に向けて北上を開始。遼寧を発艦した殲J-15戦闘機が沖縄南方海上でスクランブル発進中の自衛隊のF-15戦闘機に向けてレーダーを照射、“ロックオン”したことで緊張が高まった。

 見逃せないのは尖閣諸島周辺の緊張だ。

 台湾有事をめぐる高市早苗・首相の国会答弁をきっかけに、尖閣諸島の接続水域を中国海警局の5000トン級のヘリコプター搭載哨戒船「海警2501」など機関砲を搭載した4隻が連日航行。尖閣周辺で機関砲搭載船が4隻同時に航行するのは初めてだ。

 さらに中国外務省はサンフランシスコ平和条約の「無効」を主張して「尖閣は中国の領土」と繰り返し、中国国営メディアのチャイナ・デイリーは「琉球は日本ではない」とまで言い出した。

「J-15戦闘機によるレーダー照射も、尖閣周辺での海警局の機関砲搭載艦の航行にしても、中国は示威行動のレベルを一段階かあるいは二段階くらい引き上げていることがわかる。日本の出方を見極めたうえで次の段階に進むことを考えているのではないか」

 そう指摘するのは防衛省・自衛隊の情報分析官や幹部学校戦略教官室副室長などを務めた軍事・情報戦略研究所所長の西村金一氏(元陸自一佐)だ。

「次の段階」とはどんな行動が想定されるのか。

「中国が台湾を侵攻する場合、青島の北海艦隊(北部戦区海軍)が北から台湾の東側海域に進行、寧波から東海艦隊(東部戦区海軍)が西側海域に進行、そして湛江の南海艦隊(南部戦区海軍)が南から台湾の東側に回り込む作戦が想定されます。そのうち北海艦隊の進行ルートは尖閣諸島や沖縄などの南西諸島を通過しなければならないが、日本がここに対艦ミサイルや対空ミサイルを配備すると台湾の東側に向かうのが困難になる。中国が台湾への軍事侵攻を考えているのであれば、まず尖閣、そして南西諸島を制圧するという動機が生まれるわけです」(同前)

 尖閣有事の危機が高まっているとの指摘だ。

 駐中国大使館防衛駐在官や海自の21航空隊司令を歴任した元海自一佐の外交安全保障専門家・小原凡司氏(笹川平和財団上席フェロー)も同じ見方だ。

「中国からすれば台湾と尖閣は一体なので、中国が台湾侵攻の前に尖閣を強硬に取りにくるということはあり得る」

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