阪神ジュベナイルフィリーズでの一コマ(撮影:小倉雄一郎)
しかし強烈だったのはなんといっても1977年のTTG三強対決、トレセンに調教助手として入る前の年だ。8頭しか出ていなかったのだが、最初からテンポイントとトウショウボーイがハナを争うような一騎打ち、そして直線でグリーングラスが追い上げてきてあわや……出走頭数は少なくても役者が揃って、見せ場たっぷりのレースをするのが競馬の醍醐味だと思った。
1999年の有馬記念は調教師スタンドでグラスワンダーを管理する尾形充弘先生の隣で見ていた。直線ではスペシャルウィークとの叩き合いになって鼻面を揃えてゴール。その瞬間、尾形先生が大声で「負けたっ!」と叫んで頭を抱えながら検量室の方へ降りていったんだ。でも、写真判定の結果勝ったのはグラスワンダー。それだけきわどい勝負だった。同業者として出走馬がなかったのは悔しいのだが、「いいものを見せてもらったな」と心が震えた。
さて今年はどんなレースになるのだろう。ぜひ馬券を握りしめて応援してほしい。
ではグッドラック!
【プロフィール】
国枝栄(くにえだ・さかえ)/1955年岐阜県生まれ。東京農工大学農学部獣医学科卒業後の1978年から美浦・山崎彰義厩舎で調教助手。1989年に調教師免許を取得して1990年に開業、以後優秀調教師賞7回、優秀厩舎賞7回。主な管理馬はほかにブラックホーク、マツリダゴッホ、サークルオブライフ、ステレンボッシュなど。
※週刊ポスト2026年1月2・9日号
国枝調教師が愛馬にシャワーをかける

