ユーザーの選択肢は増えた(イメージ)
自由度が高まる一方、セキュリティリスクも発生
手数料が変更になったことで価格の競争が生まれ、ユーザーにとってお得になるだけはない。もう一つのメリットが、自由度が高まることだ。
これまで、ブラウザは初めから選ばれており、検索エンジンもすでに選択された、デフォルトの状態でスマホを使っていた人がほとんどだろう。スマホ新法が施行されて以降は、初めての起動時やOSアップデートした後に、ブラウザと検索エンジンをユーザーが選択できる画面が表示されるようになった。
アプリについても、iPhoneではかたくなにApp Store以外からはダウンロードすらできなかった。今後は、新しいアプリ提供サービスが登場したり、小さなデベロッパーや個人が開発する、ちょっとした便利アプリが気軽に利用できるようになるかもしれず、ユーザーにメリットも出てくるはずだ。
このように自由度が高まる反面、セキュリティ上のリスクは高まったと言われている。
今までApp Storeでは、厳重な審査を経たアプリのみが配信され、セキュリティ上の問題は起きてこなかった。従来から他のアプリストアも利用可能だったAndroidでは、個人情報を外部に送信する不正アプリ等が何度も見つかっているが、iOSではそのようなことがないのはこのためだ。
別のアプリストアでも、「公証」と呼ばれるセキュリティ審査は行われるため、マルウェアは防ぐことができるという。しかし、詐欺的なアプリや不適切なコンテンツを排除する機能が万全かと言われると確証はない。つまり、別のアプリストアの審査次第によっては、iOSでも詐欺アプリなどをインストールしてしまうリスクが出てくるのだ。
また、これまで子どもの課金は、ペアレンタルコントロール機能であるスクリーンタイムによって制限できた。ところが、「承認と購入のリクエスト」が機能しなくなる恐れがある。外部の決済システムを使えば、子どもが勝手に高額課金することも可能なのだ。事業者によっては、返金や不正利用時のサポートなども、十分ではないかもしれない。
さらに、フィルタリングが機能しなくなる可能性もある。現状のフィルタリングは、ブラウザエンジンが限定されているため有効だが、それ以外のブラウザを選ぶことができると、フィルタリングできなくなってしまう可能性があるのだ。
