日常の買い物のたびに物価上昇を痛感させられる(写真提供/イメージマート)
筆者は2021年『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』を書いた。2022年の『商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も』に続いたわけだが、コロナ禍を経てさらに悪化している。
2025年11月の日本の消費者物価指数(総合・全国)は2020年を100とするなら113.2(総務省報道資料より)。何だ、大したことないじゃないかと思うなかれ、多くの専門家が指摘する通り大変やばい状況にある。とにもかくにも物価高が止まらないどころかひたすら上がる予測しかないほどに。煽りや脅しでなくスタグフレーションは地獄である。税金も社会保険料も上がるいっぽうなら、さらに地獄。
よく日本の末路として上げられるかつての先進国、アルゼンチンは利上げを繰り返しても窮乏から脱出できない。スタグフレーションにハマれば国際的な信認の低下は避けられない。すでにスタグフレーションに入っているという指摘もあるが、結果的にインフレ誘導の失敗を招いたとしか言いようのない日本政府、とにもかくにもだいたいの国民、それも現役世代はひたすら手取りを吸い取られ続けていることは確かである。
しかし今回はその話は措く。そんな状況なのに抜け駆けのように、多くの国民の神経を逆撫でするような悪知恵を働かす政治家がいるという話である。もう同党も承知している事案なので名指しでいいだろう、日本維新の会だ。
現在は自民党と閣外協力という形で政権与党に関与する、その日本維新の会が現役世代、とくにガラス張りでひたすら手取りの減り続ける、増えても物価高で使えるお金も買えるものも減ったり諦めたりのサラリーマン約6000万人(非正規約2000万人含む)の給与所得者すべてを敵にまわす行為に手を染めていた疑惑が浮上した。
この件に関しての現役世代の怒りは凄まじい。街頭で聞いてもSNSを見ても。みんな本当に苦しいのだ。保険料は会社と折半でもその上昇幅は尋常ではない。
国民健康保険だけでもとんでもない額、詳しくは措くが、多くの現役世代ならみな実感しているはずだ。大した収入のない人でもちょっとありえない額、稼いでいるから云々でなく、保険料が生活の不安につながるというわけのわからない状態になりつつある。そんな怨嗟もまたXあたりで検索すればいくらでも出てくる、現役世代はみなよく払っていると思う。本当に思う。筆者だってそうだ。
それなのに、維新である。
2025年12月、維新の複数の議員を中心に一般社団法人を使って最低限の報酬とすることで低額の社会保険料の支払い、つまり脱法的なスキームに手を染めているのではないかという指摘が議会であった。その一般社団法人はなんと理事600人以上(!)、そこには維新の議員が複数名確認された。
