10月には完全受注販売の2026年カレンダーも発売した
生きているという実感
元々もっていた自分の特性が、どんどん表に出てきた年でもあった。自己評価の低いタイプだからか、「私は何の個性もない特技もないダメ人間」と卑屈になりがちだったが、自分の好きなことを発見して伸ばせたことが2025年のプライベートでの収穫だ。
昔からボトルシップ作りやミニチュア作りをやっていたが、手先が器用なことは特技なんて言えるものではない、と長年思っていた。
しかし、激動な一年の中で心が苦しくなった時、何かを作るために思考を働かせたり、ああでもないこうでもないと手を動かしたりすることが、最も自由で何にも縛られない時間で、居心地が良いことに気がついた。
それからは、花のアレンジやリース作り、刺し子などの刺繍、パラコード編みなど、様々なジャンルのものを作るようになった。趣味の世界が広がって、私はまた楽しいと思えることが増えた。
休職中、何も楽しいと思えなくて、ただ惰性で時間を過ごしていたから、今こうしてやりたいことがある日々が心の底から嬉しい。生きているという実感が湧いてくる。
2025年は様々な予想外の出来事に心が乱れることもあったが、新たな自分を見つけ出すことができた、有意義な年だった。当たり前だったことを取り戻せてきて、私はさらに元気になった。
2026年の漢字は何になるのか。今から楽しみだ。
【プロフィール】
渡邊渚(わたなべ・なぎさ)/1997年生まれ、新潟県出身。2020年に慶大卒業後、フジテレビ入社。『めざましテレビ』『もしもツアーズ』など人気番組を担当するも、2023年に体調不良で休業。2024年8月末で同局を退社した。今後はフリーで活動していく。1月29日に初のフォトエッセイ『透明を満たす』を発売。6月には写真集『水平線』(集英社刊)も発売。渡邊渚アナの連載エッセイ「ひたむきに咲く」は「NEWSポストセブン」より好評配信中。
