「同期会」も年に数回行われていた(森本龍弥さん提供)
「誰もいないグラウンドに翔平が…」
大谷は練習する時、ひたすら自分と向き合っていたようだ。
「全体練習が終わると、グラウンドで選手たちが個人練習を始めて、だいたいみんな同じくらいの時間に終えて寮に帰るんです。でも、翔平は、みんなが個人練習をしている時間にはグラウンドにいないんですよ。それで、みんなが上がったタイミングで誰もいないグラウンドに来て、1人で黙々と練習してた。周りに人がいない状態で、集中したかったんでしょうね。
僕が夜、お風呂上がりにストレッチしようと室内練習場に行ったら、翔平は1人でウエイトトレーニングをしてるんです。みんなも見慣れて、『お疲れ』って軽く声かけるだけですよね」
大谷が1年目から一軍の舞台で活躍する一方、森本さんは木製バットへの対応に苦労した。2軍で技術を磨き、初めて一軍の舞台に立ったのは4年目。4月にスタートダッシュに失敗したチームの“起爆剤”と期待されての一軍昇格だった。
昇格したその日に「8番ファースト」でスタメン出場した森本さんは、初打席でプロ初ヒットを放つ。同日、ヒーローインタビューも受けた。
「ヒットの感触は、正直全く覚えていないんですよね。緊張と興奮がすごくて……でも本当に、1本打てて嬉しかった。その1本を打てずにやめていく人もいるワケだから、そこは経験できてよかったなと思いますね。
ただその時、翔平は怪我で一軍にいなかったんですよ……僕はその4月のうちに、また二軍に落ちてしまった。一度くらい、一緒にやりたかったですね」
