姫神神社の祭り(深沢さん提供)
──すごい名前ですね。
「行く前は、いい大人が男根を担いでふざけているように見えるじゃないですか。でも、現地に行って体感するとやっぱり全然違って。すっごい楽しくて、熱気もすごくて。参加者全員が『真剣にふざけている』エネルギーに圧倒されて、そこからハマり始めました」
──これまで巡った性器崇拝の祭りはどのくらいになりますか。
「行った祭りをまとめたメモによると、場所で言ったら44か所くらいで、回数で行ったら60回は優に超えていると思います。何回か行っていると地元の人とも仲良くなっちゃって、『おう、また来たか!』みたいな。だから普通にこう、地元の祭りに帰省する感覚で行っている所もありますし、あとまあ単純に楽しい所は何回も行きたくなるっていうのもありますね」
奇妙な因縁
──そうした祭りならではの苦労はありましたか。
「まあ、ありますよね。一番はやっぱりセクハラとか。祭りの場自体が、そういうタガが外れた空気を許容しちゃうところがあるし、私も研究のために話を聞こうとして愛想良くすると、勘違いして調子に乗る人が出てくる。言葉はもちろん、触られたりとかも全然ありました。もちろん一部の祭りではありますが」
──辛い経験もされたんですね。
「そういうのが積み重なって、あと自分の研究能力の限界も感じて、2020年頃に一度きっぱり足を洗ったんです。『もういいや、こんなことやっててどうすんだ』って。就職もして、普通の生活をしようと思ったんですけど……なぜか、男根から逃げきれなくなったんです」
