『道鏡様祭り』のサルタヒコ(深沢さん提供)
伝説の巨根僧侶
──深沢さんがこれまでに訪れた中で、特に印象的だった祭りはありますか?
「茨城県の『道鏡様祭り』は譲れないですね。これはイチオシです。『道鏡』といえば、奈良時代の僧侶で、当時の女性天皇・孝謙天皇の寵愛を受けていた人物。このふたりは男女の関係が噂されていたことから、古来より『道鏡巨根伝説』がまことしやかに囁かれていたんです。
そんな道鏡のパワーにあやかった祭りなんですが、スタイルが非常に独特で。1年ごとに集落の担当の家が持ち回りで、小さい社と男根を模した『道鏡様』を回していくんです。祭りは1日がかりで行われるんですが、なんとその『道鏡様』をご神体として祀るだけでなく、藁で作った『サルタヒコ』と呼ばれる人形の股間に突き刺すんです。で、供え物に、大根を削って作った男根を再現したりして……」
──大根で男根を……。
「これがもう、シュールすぎて。男根が付いた藁人形はほかの地域でも見られますが、本体がサルタヒコ、男根が道鏡と呼ばれているのは非常に珍しいと思います」
──写真で見るとインパクトが凄まじいです。地域の方々は「伝統を守ろう!」と尽力されているのでしょうか?
「いや、それが全然そうではなくて。現地の方に『これ、なんでやってるんですか?』って聞いたら、やっぱり『わからん』って言われました。『何のために何をやってるかわからんけど、やる。それが祭りなんだ』と」
