先端から謎の煙が噴出される男根山車(深沢さん提供)
先端から煙を吹く神輿
──ギミックがすごい祭りもあると聞きました。
「これは岩手県の『枋ノ木神社の金勢祭り』ですね。男根を象った巨大な神輿を担ぐんですが、ここの御輿の男根は、先端からシューッ!って『煙』が出ます。結構な勢いで出るんです。ただ、この煙が出る御輿は重いしお金もかかるってことで、今はもう見られなくなっちゃったみたいで……非常に残念です」
──どのような経緯で、そんなハイテクな祭りが生まれたのでしょう?
「こんな愉快なギミックだから、最近始めたものかと思っていたら、昭和初期から始まったゆかりのあるお祭りで、当時の写真も見せてもらいました。最近の煙ギミックに関しては、総代をやられている方が電工会社の社長さんで、機械いじりが得意だったことから、ご自身でギミックを作られたとか。その方が『祭りを楽しめるように』と尽力されて、色々な工夫を凝らしていたそうです。地域のお祭りではそういった、ひとりの方の力でなんとか成り立っているところも多いんです」
「面白いことを全力でやる」のが日本の祭り
──こうして聞くと、本当に多種多様ですね。
「バラエティが豊かなのは、高度経済成長期以降に始まっているお祭りが多いからだと思います。日本全体がイケイケだった時代に、『面白いことやって客呼ぼうぜ!』っていうノリで、愛知の『田縣神社の豊年祭』を真似して神輿を作って始めたところが多いと見ています」
──町おこしの一環だったと。
「そうなんです。そこに『もっともらしい理由』として、五穀豊穣とか厄除けを後からくっつけた。でも、私はそれが悪いことだとは思いません。むしろ、理屈よりも『面白いことを全力でやる』というエネルギーこそが、日本の祭りの本質なのかもしれません」
日本の奥深い「祭り」の数々。そこに通底するのは、慎ましい日本人が“ハレの日”に注ぎこむ、とてつもないパワーだったようだ。
(了。前編から読む)
