古谷敏(ふるや・びん)/1966年『ウルトラQ』(ケムール人役)出演を経て、同年『ウルトラマン』のスーツアクターに抜擢。近著に『60年目のスペシウム光線』(共著、小社刊)。2026年1月10日に池袋HUMAXシネマズにて前田日明氏とのトークイベントを開催
「ヒーローは死んではいけない」
古谷:なんでも『仮面ライダー』の生みの親である石ノ森章太郎先生は、藤岡さんに「仮面ライダーは死なない」とおっしゃったとか。
藤岡:ええ。それまでの私は、どうやって本郷猛の最後を迎えるべきか悩んでいたんです。そこで石ノ森先生に相談すると「何を言っているんだ、仮面ライダーは死なないんだよ」と叱咤されたんです。そう言われたとき、これはとんでもない宿命を背負わされたなって思いましたね。
古谷:ヒーローは死んではいけない――。その言葉は重いですよ。
藤岡:でもあるとき、『仮面ライダー』を応援してくださっている親子に出会って先生の言葉の意図がわかったんです。お父さんは、自分の父親から「正義の意味を学ぶために『仮面ライダー』を観なさい」と言われていたようで、彼もまた、自分の息子と一緒に『仮面ライダー』を楽しんでくれている。3代にわたって愛してくれていたんですね。そして5歳くらいの息子さんがトコトコと私に近づいてきて「本郷さん、頑張ってください」と握手を求めてきました。私はしゃがみ込み、息子さんと同じ目線で「ありがとう」と言い、彼の頭をくしゃくしゃ撫でながら、私は死にゆく覚悟より、生き抜く覚悟を選んだのです。
古谷:素敵な話だね。
藤岡:その瞬間、ああ、石ノ森先生がおっしゃった「仮面ライダーは死なない」というのは、こういうことだったのかと理解できました。人の正義や勇気はヒーローが死なないことによって綿々と継承され、受け継がれていくのだな、と。
(第2回につづく)
【プロフィール】
古谷敏(ふるや・びん)/1966年『ウルトラQ』(ケムール人役)出演を経て、同年『ウルトラマン』のスーツアクターに抜擢。近著に『60年目のスペシウム光線』(共著、小社刊)。2026年1月10日に池袋HUMAXシネマズにて前田日明氏とのトークイベントを開催。
藤岡弘、(ふじおか・ひろし、)/1965年、松竹映画にてデビュー。1971年『仮面ライダー』の主演で一躍人気俳優に。主演、出演作多数。次女の天翔天音が2026年1月配信予定の『仮面ライダーアインズwithガールズリミックス』(東映特撮ファンクラブ)で主演を務める。
取材・文/佐々木徹 写真/藤岡雅樹
※週刊ポスト2026年1月2・9日号
