当時の共演者とのエピソードを語った
待ち時間には福山さんがギターを弾いて
振り返れば、出演者もスタッフも、みんながこの『一つ屋根の下』という作品を大切にして、お互いを大事に思っていた現場でした。江口さんはセリフも多いし、エネルギーを一番出して演じなくてはいけなかったので、楽屋にこもって役作りをしていることが多かったです。「真面目でストイックなんだなあ」と、役者としての“顔”に新鮮さを感じました。待ち時間には福山さんがギターを弾いてみんなでセッションを始めたりもして、贅沢な瞬間でしたね。
福山さんは『ひとつ屋根の下』の撮影時、私の頭の上に腕を置いて顎を載せたりしてふざけたりしてたんですよ。数年前に共演する機会があったんですけど、会うと昔と変わらず「梅~」と呼びかけてくださって、フランクで格好良くて、私が「相変わらずかっこいいですね!」と言うと、「やめろよ〜」って笑って返してくれて。福山さんとの出会いは「男前ってこういう人のことを言うんだ」と私が初めて実感した方です。撮影当時は緊張して「かっこいい!」なんて軽口はきけませんでした。
酒井さんにはお洋服をいただいたり、食事に連れて行ってくださったり、良くしていただきました。一度、現場で私がお財布を無くして帰りの電車賃に困ったとき、酒井さんが「大丈夫?」といってお金を貸そうとしてくれたんです。「3万円で足りる?」って。高校生に3万円なんて、1000円で大丈夫なくらいなのに(笑)。優しいのに加え、人気女優さんは金銭感覚がこうも違うのか! と驚きました。ありがたくお断りして、マネージャーさんに借りて帰りました。
壱成くんはとってもオシャレな人でしたね。現場に入るときの服装がヒッピー風というか格好良くて。屈折した和也役のイメージとは違い、裏表のないオープンな性格だなあと思っていました。山本耕史くん(48)は赤ちゃんの頃からこの仕事をしてきただけあって、人との接し方がとても上手。運動神経も良くて、車椅子をすごく器用に乗りこなしていました。前輪を持ち上げてウィリー走行をやってみたりして。壱成くんと耕史くん、松たか子さん(48)の4人で撮影期間中の夜に一度、湘南の海に遊びに出かけたこともあります。真っ暗で何も見えませんでしたが、他愛のない話で盛り上がりました。
兄弟の中で今も連絡をとっている人? 頻繁にやり取りしているわけじゃないですが、極たまに、やりとりする方はいます(笑)。
取材/文 中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫
