永瀬拓矢九段
先崎:2025年は棋聖戦で杉本和陽六段(34)が挑戦者に名乗りを上げ、藤井さん相手に大善戦しましたし、竜王戦でも石田直裕六段(37)が挑戦者決定戦まで進出しています。いずれも順位戦ではC級2組所属ですが、その実力は認められていた存在でした。彼らの活躍ぶりに触発される中堅棋士が出てきても全く不思議ではありません。
葉真中:トップ棋士の永瀬九段は最近、NHKの番組で「角換わり以外の将棋は木刀。角換わりは真剣」と発言していました。数ある戦法のなかで、とりわけ研究が進んでいるとされる「角換わり」は、トッププロにとって特別な意味を持っているのでしょうか。
先崎:「角換わり」は相居飛車における戦型のひとつですが、序盤が長く、中盤は短くてすぐ終盤に突入する、非常に激しい戦いが特徴です。形として玉が詰みやすく、一手のミスが勝敗に直結する厳しさがある。「真剣」のたとえはそうした緊張感のなかで戦うというイメージなのでしょう。
葉真中:永瀬さんは間もなく始まる王将戦七番勝負で藤井王将に挑戦します。藤井さんが終盤の秒読みで頭を抱えて苦悩するような、形勢の二転三転する「泥試合」を見たい。今から楽しみです。
先崎:名勝負の多い王将戦ですから、新しいドラマがあるでしょう。
人間とAIの未来が見える
葉真中:藤井さんがあるトークショーで興味深い発言をしていました。「バイブコーディング」と呼ばれるAI主体のソフトウェア開発に熱中しているというのです。
先崎:それはどういう技術ですか。
葉真中:プログラミングの専門知識がなくとも、自然言語でAIに指示するだけでアプリ開発やシステム構築など成果物が作れるというものです。藤井さんとAIの「相性の良さ」を感じましたね。
