ナウル共和国観光局が笠上黒生(かさがみくろはえ)駅のネーミングライツ(命名権)を取得「ナウル共和国」駅に(時事通信フォト)
担当者が言うように、銚子電鉄はぬれ煎餅のブームにあぐらをかくことなく次の手を着々と打ってきた。2018年には、新商品のスナック菓子”まずい棒”を発売。経営が”まずい”ことを全面に出した商品だったが、自虐的なネーミングが話題を集めてヒット商品となった。
2019年には楽器メーカーのヤマハとコラボして、電車音や踏切音などをダウンロードできる音楽配信サービスを開始。2020年のコロナ禍では、”お先真っ暗セット”と称したグッズを販売。映画「電車を止めるな!」も制作した。
2021年からは電力の小売事業にも参入。約1万件の契約者がいれば、銚子電鉄の電車を1年間運行できる収益を得られるビジネスモデルを構築した。昨今の電気代高騰は経営的に厳しいが、電車を動かせなくなるという最悪な事態は回避できた。
そして2025年に米価高騰という危機を迎える。煎餅の原材料はうるち米なので、米価が高騰すれば原材料費も上がることになる。米価の高騰は副収入として経営を支えてきたぬれ煎餅の売上に大きく影響し、経営を揺るがす事態になっている。
「銚子電鉄は2024年度に4年ぶりに赤字になりました。米価高騰はぬれ煎餅など物販の収益に少なからず影響していますが、赤字は米価高騰だけが原因ではないと思っています」(同)
すべては電車を走らせ続けるため
原材料費が高騰している中でも、ぬれ煎餅は値上げをしていない。それは利益が圧縮していることを意味する。そうした苦しい中でも、銚子電鉄にとはチャレンジ精神を絶やさない。
2025年4月には、1年間限定で路線愛称を”犬吠崖っぷちライン”へと変更。同年7月には経営が崖っぷちの企業と連携して、崖っぷちサミットを開催した。
10月には犬吠駅の売店を「てつのみち駅・いぬぼう」へとリニューアルし、ぬれ煎餅やまずい棒といった商品の売上増を図ったほか、地元農家が収穫した野菜などの販売も開始。これにより駅売店の機能が強化された。
銚子電鉄は常に赤字と隣り合わせの危機にあるが、とにかく電車を走らせ続けるために試行錯誤してきた。それでも経営状態は決して楽観視できない。
2026年も銚子電鉄は電車を走らせるために新商品・新企画をリリースするだろう。現在、日本各地のローカル線の多くは沿線の人口減少によって苦しい経営を強いられている。銚子電鉄が奮闘する姿は、何とか鉄路を残そうとする鉄道事業者や沿線住民などを勇気づける存在になっている。
