東京博善の持つ都内最大級の火葬場・桐ヶ谷斎場(写真/AFLO)

東京博善の持つ都内最大級の火葬場・桐ヶ谷斎場(写真/AFLO)

 錚々たるプレイヤーによって東京博善が資本市場のなかで奪い合われる存在になったのは、火葬場が持つケガレの概念が消えて「普通の会社」になったことの証だった。

 最終的に争奪戦を制したのが羅だったのは、売り抜けて終わりのファンドではなく、彼が実業家だったからだろう。元々、中国人である羅には日本の死穢観がない。“優良企業なのに、なぜ誰も手を出さないのか”と名乗りを上げて、買収後は自ら東京博善を運営するつもりだった。

 実際、私の取材に対し、羅は購入動機について、

「買ったのは経済合理性によるものです。単純に株価が安く、いい投資先でした。私は広済堂の経営者であり、火葬に依存しないビジネスモデルを考えています」

 と語った。

 その後、羅は東京博善の事業領域を広げて、収益性を上げることに努めた。なかでも葬儀業への参入は、火葬場専業からの脱却だった。

 羅は、前述の櫻井によって式場も備えた東京博善を葬儀全般まで引き受ける一気通貫のサービスを提供できる会社にして、葬儀後の相続対策などもサポートする体制を築き、さらなる収益拡大の道筋をつけたのである。

 羅からすれば、昨今の火葬料の値上げも経済合理性を追うなかでの当然の帰結なのだろう。燃料代が高騰しているのだから値上げは必要だというシンプルな発想である。

 * * *
 第3回記事【《簡素化し続ける“葬儀と墓”の歴史》バブル崩壊後に進んだ日本社会の「無縁化」、中国人実業家が進めた「経済合理性に則った火葬場ビジネス」】では、葬儀や墓に対する日本人の意識の変化や、それに伴って広済堂HDが崩した「火葬ビジネス界の予定調和」について解説している。

(第3回につづく)

取材・文/伊藤博敏(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2026年1月30日号

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
NEWSポストセブン
歌舞伎役者・中村鶴松(本名・清水大希)容疑者
《歌舞伎・中村鶴松が泥酔トイレ蹴りで逮捕》「うちじゃないです」問題起きたケバブ店も口をつぐんで…関係者が明かす“中村屋と浅草”ならではの事情
NEWSポストセブン
ブルックリン・ベッカムと、妻のニコラ・ペルツ(Instagramより)
《ベッカム家に泥沼お家騒動》長男ブルックリンが父母に絶縁宣言「一生忘れられない屈辱的な記憶」は結婚式で実母ヴィクトリアとの“強制ファーストダンス”、新婦は号泣
NEWSポストセブン
初場所初日を迎え、あいさつする日本相撲協会の八角理事長(2026年1月11日、時事通信フォト)
土俵が大荒れのなか相撲協会理事選は「無投票」へ 最大派閥・出羽海一門で元横綱・元大関が多数いるなか「最後のひとり」が元小結の尾上親方に決まった理由
NEWSポストセブン
一般人を巻き込んだ過激な企画で知られるイギリス出身のインフルエンサーのボニー・ブルー(Instagramより)
「行為を終える前に準備」「ゴー、ゴー、ゴーです」金髪美女インフルエンサー(26)“12時間で1000人以上”を記録した“超スピード勝負な乱倫パーティー”の実態
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン