子供たちの服装や教育内容もコントロールされている(日本ウイグル協会提供)
そんな攻防が何度か続いたある日、突然ビデオ通話中に中国人の警察官が現れた。どうやら通話を始める前から両親の家を訪れていたようだ。そしてこう帰国を迫ったという。
「親の言うことを聞いてさっさと帰れ、さもないと家族がどうなっても知らないぞ」
アフメット会長の疑念が確信に変わった瞬間だった。帰国を拒否すると、その日から家族との一切の通信が断ち切られた。
家族との連絡が途絶えてから約半年後の2018年3月、唐突にメッセージアプリを介して動画が届いた。そこに写っていたのは、アフメット会長が安否を心配し続けていた父の姿だった。アフメット会長が悲痛な表情を浮かべ、こう振り返った。
「見たことのない内装の部屋で、監視カメラが写っていた。明らかに強制収容施設で撮影されたものでした。父は『ここではよく面倒を見てもらっているから非常に感謝している。この人たちに協力してあげください』と言っていました。明らかに警察に言わされている様子でした」
しばらくは誰にもその動画を見せることができず、再生するたびに泣き崩れる日々が続いた。
「テロリストが人質を取って、その動画を相手に送りつけて『自分たちの言うことを聞け』と脅す。そういうニュースの中だけのものだった出来事が突如として自分の身に起きたんです。想像もしたことがない、夢にも思わなかったことが現実になってしまいました」(同前)
動画が届いた約1年後、アフメット会長は動画を日本のメディアへ公開することを決心した。
「悲しんでいるだけでは状況が何も良くならないと考えるようになっていきました。自分が口をつぐんでいる間にも、中国当局は『ウイグル人は自分たちから望んで施設に入っている』とか『みんな家にちゃんと帰って幸せに暮らしています』と発信し続けていました。私たちのような海外にいるウイグル人が黙れば黙るほどその嘘が世界の中で“真実”になっていってしまう状況を許すわけにはいかなかったんです」(同前)
自らの壮絶な体験を語ったアフメット会長。こうした事態は「日本でも起こりうる」と警鐘を鳴らす。特に高市政権に対する強い思いがあるようだ──。
(第4回につづく)
