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小沢一郎氏、土井たか子氏… 平成の政治を成熟させたTOP10
小沢一郎氏、土井たか子氏… 平成の政治を成熟させたTOP10
 平成という時代を振り返ると、昭和に比べて「政治が幼稚になった」といわれる。それは、政治家の言動に起因する言であり、政党の離合集散の様であり、あるいは日本の民主政治のあり方そのものを指しての評であろう。 とはいえ、平成の時代にも、昭和より「成熟」した面もあるはずだ。平成30年間で、日本を「成熟させた政治家」は誰か──元議員、ベテラン政治記者ほか政治のプロ54人が選出したベスト10を紹介しよう。【1位】小沢一郎(76)/自由党代表「作っては壊すの連続だったが、政権交代で『政治は1票で変えられる』という意識を持たせた」(政治ジャーナリスト・宮崎信行氏)【2位】小泉純一郎(76)/首相「自分の信念に基づいた、ビジョンと意思を持っている。政治家は変人である必要がある」(作家・猪瀬直樹氏)【3位】野中広務(享年92)/自民党幹事長「党人政治で官僚機構に対峙した」(前東京都知事・舛添要一氏)「マイノリティの問題に真剣に取り組んだ」(ジャーナリスト・佐々木俊尚氏)【4位】菅義偉(70)/官房長官「黒子として二度目の安倍政権を実現。官僚を完全に使いこなす政治主導の政権にした要となった」(名古屋大学教授・後房雄氏)【5位】安倍晋三(64)/首相「自民党をぶっ壊した小泉首相を反面教師に、安定した政権運営を実現している」(一橋大学教授・中北浩爾氏)【6位】小渕恵三(享年62)/首相「自らは“凡人”を自称しながらも、安保、外交面では中国の江沢民主席と渡り合うなど、気骨を示した」(毎日新聞特別顧問・松田喬和氏)【7位】土井たか子(享年85)/社民党党首「社会党を再起させた力は見事」(元衆院議員・平野貞夫氏)「女性が政治の場でリーダーシップを発揮した」(経済ジャーナリスト・荻原博子氏)【8位】橋下徹(49)/大阪市長「地方公務員の給料引き下げを実施。組合との交渉過程をオープンにして民主的手法で公約を実現した」(政治評論家・屋山太郎氏)【9位】村山富市(94)/首相「自衛隊合憲は現実主義的英断」(社会学者・筒井清忠氏)「野党側の政権交代の前提条件を整備した」(元経産官僚・古賀茂明氏)【10位】後藤田正晴(享年91)/副総理「歴代最高の官房長官。確固とした信念のもと平和国家・日本を守ろうと尽力した」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)・肩書きは代表的なものを記した。※週刊ポスト2019年1月1・4日号
2018.12.26 07:00
週刊ポスト
平成中期の政治を振り返る 「小泉改革」で自民党ぶっ壊した
平成中期の政治を振り返る 「小泉改革」で自民党ぶっ壊した
 平成の政治を10年刻みで見ていくと、それぞれのディケイド(10年間)に大きな特徴がある。平成11年(1999年)~平成20年(2008年)で存在感が際立っていた政治家の功罪を辿る。◆五人組談合と「加藤の乱」 2000年、在任中の小渕恵三首相が倒れると、青木幹雄・官房長官や村上正邦・参院議員会長らのいわゆる「五人組」の密室談合により森喜朗首相が誕生した。「神の国」発言や「無党派層は寝ていてほしい」などの失言で支持率は底辺を這った。「首相時代のえひめ丸事故では一報を受けた後もゴルフを続けた。その責任を忘れて今も東京五輪組織委員会会長に居座っている。首相に推したことは失敗だった」(村上氏) そんな森内閣に自民党内から倒閣の動きが起きる。加藤紘一・元幹事長の「加藤の乱」だ。野党・民主党と組んで内閣不信任案を成立させようとしたが、同調者を切り崩されて保守本流の宏池会(加藤派)は分裂に追い込まれた。「加藤の乱で自民党のリベラル勢力を大きく後退させた責任は重い」(松田喬和・毎日新聞特別顧問)◆「日朝会談」「郵政解散」小泉劇場の“劇薬” その後、彗星の如く登場したのが小泉純一郎氏だ。「自民党をぶっ壊す」と総裁選に出馬すると、「角栄の娘」田中真紀子氏の応援を得てみるみる旋風を起こし、最大派閥の旧小渕派が擁立した橋本龍太郎元首相を圧倒して首相の座に就いた。「小泉時代」の始まりである。 小泉首相は経済、安保、外交と日本のあり方を大きく変えた。「構造改革」を掲げて規制緩和や市場開放を推進し、安保ではイラク戦争に自衛隊を派遣、外交では電撃的な北朝鮮訪問で金正日と会談し、日朝平壌宣言を出した。「『歌手1年、総理2年の使い捨て』と自嘲された保守政界で、5年を超える長期政権を維持した。道路公団など公の予算を効率化し、拉致被害者の奪還にも成功した」(政治ジャーナリスト・宮崎信行氏) その真骨頂は、国民を味方に引き込む「劇場型政治」の手法にあった。看板の郵政民営化では、民営化法案が参院で否決されると、「国民に信を問う」と解散・総選挙に踏みきり、自民党の抵抗勢力に“刺客候補”を立てる劇場型選挙で大勝利する。「郵政民営化のワンイシューで選挙を戦い、党が分裂することでもやってのける非情さが政治には必要だと示した」(政治評論家・有馬晴海氏) この郵政選挙で生まれたのが、「議員の給料で念願のBMWが買える」と語った杉村太蔵氏ら大量の小泉チルドレンだ。 小泉政治に特徴的なのは、同じ識者でも評価が功罪相半ばすることだ。「政治には議論、審議を通じて反対派を説得することが必要。権力を行使して抵抗勢力を協力勢力にする手法は、時間が経つと間違った選択になってしまう危険が大きい」(有馬氏) 自衛隊イラク派遣についても、「ブッシュの戦争に日本を参加させ、日本外交を米国の国益遂行手段にすることを加速させた。イラク戦争の総括報告調査の大半が未だ国民に開示されていない」(国際ジャーナリスト・小西克哉氏)との評があった。 小泉時代の年金改悪で国民負担が重くなり、派遣業法改正で非正規労働者が増えた。「日本の所得格差が拡大し、『勝ち組』と『負け組』が分離して若者が将来に展望を抱けなくなった」(ジャーナリスト・安積明子氏)という負の側面は見落とせない。◆幻の「小沢-福田」大連立構想 小泉首相が5年5か月の長期政権を終えて退陣すると、自民党は坂道を転げ落ちていく。 跡を継いだ安倍晋三首相は1年で退陣。次の福田康夫首相は、民主党代表だった小沢一郎氏に“救国大連立”を申し込むが、民主党内の反対で幻に終わる。退陣会見を開いた福田首相は、記者に他人事のようだと批判され、「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違う」と逆ギレした。 そしてリーマンショックという世界的恐慌の中で政権に就いた麻生太郎首相は、党勢を回復できないまま、下野への道を突き進むことになる。※週刊ポスト2019年1月1・4日号
2018.12.24 07:00
週刊ポスト
追悼2018 西城秀樹さん、佐々淳行さん、野中広務さん
追悼2018 西城秀樹さん、佐々淳行さん、野中広務さん
 2018年も多くの人が旅立った。平成の終わりとともに別れを告げた人々の思い出を胸に語り合おう。●西城秀樹(歌手、享年63) 1972年に『恋する季節』でデビュー。郷ひろみ、野口五郎とともに「新御三家」と呼ばれ、トップアイドルとして活躍した。代表曲のひとつ『YOUNG MAN』(1979年)は、音楽番組『ザ・ベストテン』で最高点9999点を2週連続で記録するという大ヒットとなった。 2度の脳梗塞に倒れながらもリハビリを続け、還暦記念アルバムを発表するなど生涯歌手にこだわった。5月16日、急性心不全のため亡くなった。妻・木本美紀さんの手記『蒼い空へ 夫・西城秀樹との18年』(小学館)が過酷な闘病生活を伝えている。●佐々淳行(元初代内閣安全保障室長、享年87) 東京大学法学部を卒業後、1954年に国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。1969年の東大安田講堂事件や、1972年の連合赤軍のあさま山荘事件などを担当。1986年に初代内閣安全保障室長に就任。1989年の退官後は、数多くの警備事案を担当した経験をもとに、著書などを通じて「危機管理」という概念を日本社会に定着させた。10月10日に都内の病院で死去。●野中広務(元内閣官房長官、享年92) 京都府議、同府副知事などを経て、1983年に衆院旧京都2区補選で初当選。以後、連続7期を務め、自社さ連立政権下の村山富市内閣で自治相として初入閣、阪神大震災やオウム真理教の一連の事件に対応した。2001年の小泉純一郎政権では首相の政治手法を批判して「抵抗勢力」として激しく対立、小泉氏の総理再選を受けて政界を引退。 戦中の体験から「ハト派」の姿勢を貫き通し、引退後も論客として精力的に発言を続けた。1月26日に京都市内の病院で死去。※週刊ポスト2018年12月21日号
2018.12.14 07:00
週刊ポスト
日本の「自己責任論」に拍車かけた小泉政権と小池百合子氏
日本の「自己責任論」に拍車かけた小泉政権と小池百合子氏
 シリアで武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平さん(44才)が10月末、約3年4か月ぶりに解放されて帰国した際、安田さんを待っていたのは、「助かってよかった」という安堵の声だけでなく、「国に迷惑をかけるな」「われわれの税金を無駄遣いするな」などという厳しいバッシングだった。「自己責任」に関する議論が起きたのだ。「自己責任」というものについては、時に被害者に対するバッシングにつながることも少なくない。 2015年に中学1年生の男女が早朝の街で連れ去られ、遺体で発見された寝屋川市中1男女殺害事件や、2017年にネットを媒介にして9人の男女が殺害された座間9遺体事件などの凶悪犯罪では、「子供が真夜中に出歩くのはおかしい」「見知らぬ男の家に行くのも悪い」などと、“被害者の落ち度”を責める自己責任論がネット上にあふれたのだ。「自己責任」という言葉が実際に世に浸透し始めたのは、1980年代後半だ。バブル経済の時代にリスクがある金融商品への投資に対し、「価格の変動で損失を被ったり、元利払いが行われなくなったりする危険性は自ら負わなければならない」との説明がなされたことが契機とされる。 バブル崩壊後には政治家も公然と「自己責任」を口にし始める。1997年、橋本龍太郎首相(当時)が「バブル後の不良債権の処理で『自己責任』が問われる」などと発言。2001年に首相に就任した小泉純一郎氏は、「官から民へ」をスローガンに、年金改革や医療制度改革、生活保護費の削減で社会制度を縮小、「自己責任社会」を創出した。 よく小泉政権は「アメリカ的な実力主義、競争社会を日本に取り入れた」と評価される。ただ、それは中途半端なものだ。 欧米は厳しい実力社会であると同時に、キリスト教的な相互扶助の精神が強固に根づいているので、社会のバランスが取れている。欧米人にとって、成功者が慈善活動を通じて弱者を救い上げることは当たり前のことだ。しかし、小泉政権下の日本は「競争」だけを輸入し、「相互扶助」は捨て置いた。 政治や経済の分野で用いられることが多かった自己責任が現在のように使われ出したのは、2004年にイラクで発生した日本人人質事件だろう。 この時、イラクでボランティアをしていた日本人女性ら3人が武装勢力に誘拐され、犯行グループは、同国サマワに駐留する自衛隊の撤退を要求した。日本政府が要求を拒否すると、3人は地元宗教指導者の仲介で解放された。「無謀ではないか。一般的に危ないと言われている所にあえて行くのは、自分自身の責任の部分が多い」 当時、こう3人を斬って捨てたのは、小泉政権で環境相を務めていた小池百合子氏(現・東京都知事)だ。小池氏の発言を機に、与党の政治家から3人の自己責任を問う声が噴出。読売新聞も社説で立て続けにこう論じた。《自己責任の自覚を欠いた、無謀かつ無責任な行動が、政府や関係機関などに、大きな無用の負担をかけている。深刻に反省すべき問題である》(2004年4月13日)《政府・与党内には、救出費用の一部の負担を本人に求めるべきだという議論もある。これは検討に値する》(2004年4月19日)◆戦地取材は「税金泥棒」? 当時、イラク・バグダッドで取材を続けていた映像ジャーナリストの綿井健陽さんは、日本における人質事件の報道を見てわが目を疑った。「拘束されていた日本人が解放された時、イラクの地元メディアや海外メディアは一様にわが事のように喜んだんです。ところが日本の報道を見ると、拘束された3人が激しく非難されていました。3人が帰国する際は日本の空港に『税金泥棒』『自業自得』という紙を掲げた人が現れて、新聞や雑誌でも自己責任論キャンペーンが張られていた。それらを海外メディアのかたに伝えると、『なぜ彼らが非難されないといけないんだ』と驚いていました」 国内の反応を知った綿井さんは、「日本社会は変わった」と実感したという。「1960年代から1970年代のベトナム戦争では、世界中のジャーナリストが戦地で犠牲になり、日本人ジャーナリストも14人亡くなっています。当時は“戦場に散った者”という扱いで、戦地で亡くなったかたがたは少なくとも“殉職”扱いでした。ところが2004年のイラク人質事件をきっかけに、報道に対する社会の見方が一変しました」(綿井さん) 戦地を取材するジャーナリストに「税金泥棒」との非難が集中するのも、日本ならではの光景だ。「そもそもヨーロッパでは、戦地や紛争地で、その地に生きる人の権利や幸せのために活動することは、ジャーナリストや報道関係者にとっては当たり前のことだと考えられています。自国内であろうが、海外であろうが報道の使命は変わりません。そして、戦地に向かう彼らが現地で命を落としたり、拘束されるのは『職業上のリスクとしてあり得ること』との認識が社会の中で共有されていて、大きく騒がれません。 ましてや日本政府や外務省には日本人の生命や財産を守る邦人保護の義務があり、ジャーナリストに限らず、誰であっても日本国籍を持つ人を保護するのは当然です。“勝手に行ったやつに税金を使うな”と自己責任を問う声は、外国でもまったくゼロではないにせよ、日本のようにワイドショーで大々的に放送されることはあり得ません」(綿井さん)※女性セブン2018年12月13日号
2018.12.03 07:00
女性セブン
セガサミー・里見治氏 娘の結婚式に歴代総理3人呼んだ
セガサミー・里見治氏 娘の結婚式に歴代総理3人呼んだ
 永田町で“伝説”になっている2013年に開かれた披露宴がある。新郎は経産省の若手キャリア、新婦は資産家の令嬢だったが、注目されたのは来賓の豪華な顔ぶれだ。 政界から安倍晋三・首相、小泉純一郎・元首相、森喜朗・元首相という「3人の総理」が勢揃いしたのである。現職国会議員の披露宴でも、3人の新旧総理が顔を揃えることはまずない。 愛娘の披露宴に総理を並べて存在感を誇示したのは新婦の父・里見治氏(76)だ。なぜ、そんなスケール違いの“集客力”を持つのか。里見氏は大手パチンコ・パチスロ機メーカーのセガサミー創業者で、「資産1113億円」(フォーブス「日本の富豪50人」2018年版)とされる大富豪。 新郎の鈴木隼人氏は披露宴の翌年(2014年)の衆院選に自民党(東京ブロックの比例代表)から出馬して代議士に転身し、前回2017年の衆院選では東京10区から出馬し当選、東京に地盤を得た。ノンフィクション作家の森功氏が語る。「里見氏の政治力をもってすれば“ムコ殿”を政治家にするくらい朝飯前。それ以上に里見氏の政治力を物語るのは安倍政権が今年の通常国会の会期末ギリギリに豪雨被害対策そっちのけでカジノ実施法案を成立させたことです。 セガサミーは日本でのカジノ開業をにらんで昨年、韓国の仁川国際空港近くでカジノ付きリゾート『パラダイスシティ』をオープンしている。国内では彼らカジノ推進派や米国トランプ政権の“早くカジノを解禁せよ”という強い要請に応える必要があったのでしょう」※週刊ポスト2018年12月7日号
2018.11.27 07:00
週刊ポスト
安倍首相の後継「岸破義信」が争う間に極右台頭の土壌も
安倍首相の後継「岸破義信」が争う間に極右台頭の土壌も
 安倍晋三首相は露・プーチン大統領との首脳会談で「3年以内に日露平和条約を締結する」と合意した。首相の残り任期中に、北方領土返還を実現させるという宣言にほかならない。「安倍退陣の日」をただ待っているポスト安倍の面々は、すでに18年間も実質的な最高指導者を続けるプーチン氏と握手する総理の自信に満ちた表情に圧倒されたに違いない。「岸破義信」なる名前がメディアにとりあげられている。安倍首相の最後の任期に合わせて、“自民党のブルペン”で投球練習をはじめた岸田文雄・政調会長、石破茂・元幹事長、菅義偉・官房長官、加藤勝信・総務会長の4人の一文字ずつ取って、産経新聞が次の総理総裁の有力候補と報じた。“大宰相”として後継者を指名する立場にある安倍首相に極めて近いといわれる産経が報じたのだから、この国の政局は大きく動き出す……はずがない。 なにしろ総理候補といわれても国民にはリアリティが感じられないからだ。立憲民主党の枝野幸男代表が「私こそポスト安倍だ」と語るほど政界は人材不足だ。 その状況が一番危うい。「究極のポピュリスト政治家」が彗星のように現われ、有権者の支持を集める危険がある。米国でトランプ大統領が誕生した時のように。北海道大学教授で政治学者の吉田徹氏の分析だ。「ポピュリズムの台頭が世界の潮流になっているのは、経済のグローバリズム化の結果、勝ち組、負け組がわかれたものの、既成政党のプロ政治家が解決策を示すことができないことが大きい。 国民が既存エリートに対して不信感を覚えると、不満を吸収するように、移民排斥や民族差別など憎悪感情に訴える素人政治家が登場し、場合によっては政権を取ってしまう。米国だけでなく、欧州もポーランドやハンガリーで政権を獲得し、イタリア、オーストリアでも連立政権入りした」◆極右の「ミスターX」が出現 自民党が大量議席を得ているのは国民にとって「他に選択肢がない」という事情が大きい。「岸破義信」がコップの中の争いを演じている間に、強いメッセージ力を持つ《未知の政治家》が登場すれば、瞬く間に有権者の支持を吸収して台頭してくる可能性は十分ある。 事実、オバマ政権が2期目の折り返しを迎えた2015年初めの時点で「次の大統領がトランプになる」と思っていたアメリカ人はほとんどいなかった。 世界を見ると、選挙に勝つために必ずしも政治基盤は重要ではない。オランダのヘルト・ウィルダース党首率いる自由党は、党員わずか1人。党首がすべての公認候補を指名し、昨年の総選挙では立ち会い演説なし、ポスターも貼らず、メディアを敵に回してツイッターで国民に直接、「イスラム移民排斥」を訴え、なんと第2党に躍進した。 日本でも、たった1回の総選挙で政権に就いた細川護煕首相のケースがある。前回総選挙は小池百合子東京都知事が“この指止まれ”と即席で立ちあげた希望の党が、一時は安倍首相を大いに慌てさせた。社会学者の筒井清忠・帝京大学日本文化学科教授が指摘する。「日本で“敵をつくって攻撃する”というポピュリズム的なところがあったのは、小泉純一郎・元首相や小池都知事、そして橋下徹・元大阪市長らですが、安倍首相が退陣する頃には、彼らよりもその手法を鮮明にする政治家が現われそうな感じがします。 というのも、LGBT論争や沖縄基地問題などでの右派と左派の激しい対立に象徴される、国民分断が進むムードが強まっている。こういう状況でポピュリストが登場すると勢いを持ちやすい」 折しも、国会では外国人の単純労働者を受け入れる入管法改正案が審議中だ。「日本から外国人労働者を追い出せ」──などと極端なナショナリズムを掲げる“ミスター(ミズ)X”が出現する土壌が生じつつあるという指摘だ。※週刊ポスト2018年11月30日号
2018.11.20 07:00
週刊ポスト
平成14年メモリーズ ベッカムフィーバーと拉致被害者帰国
平成14年メモリーズ ベッカムフィーバーと拉致被害者帰国
 最後の瞬間を迎えようとしている平成の時代には、様々な出来事があった。平成14年(2002年)の世の中を振り返る。 アジア初、日本と韓国の2か国共催としても史上初となるサッカーのワールドカップが開催。日韓それぞれ10都市の会場で熱戦が繰り広げられ、観客動員数は64試合で約270万人。日本もベスト16入りと健闘。女性たちは甘いマスクのベッカム様(デビッド・ベッカム)にもうメロメロ。男性にはベッカムヘアも流行した。 日朝関係も歴史的な節目を迎えた。小泉純一郎首相が日本の首相として初の北朝鮮訪問。日朝首脳会談が行われた。北朝鮮側は拉致を正式に認め、謝罪。10月15日、蓮池薫さん、曽我ひとみさんら拉致被害者5人が24年ぶりに帰国。だがその後、日本政府が認定する17人の拉致被害者の再調査の約束は膠着状態に陥っている。 福岡・久留米看護師連続保険金殺人事件の容疑者4人が逮捕。主犯格の吉田純子(2016年死刑執行)は看護師仲間と共謀し、仲間の夫2人を殺害。保険金6700万円を詐取。事件は書籍化され、大竹しのぶ主演のドラマ『黒い看護婦』(フジテレビ系)の題材にも。 明るい話題ではノーベル賞で日本人2人がダブル受賞の快挙。物理学賞に東京大学名誉教授の小柴昌俊さん、化学賞に島津製作所ライフサイエンス研究所主任の田中耕一さんが決定。田中さんは江崎玲於奈博士以来2人目となる民間企業からの受賞となった。 芸能界では中山美穂が作家の辻仁成と電撃結婚。宇多田ヒカルと映像作家・紀里谷和明との結婚も話題となった。ほかにも内田有紀と吉岡秀隆、小室哲哉とKEIKOと、この年の芸能界は結婚ラッシュ。 ヒット商品ではお掃除ロボット『ルンバ』(アイロボット)の初代モデルが登場。ドラマでは熱血教師を仲間由紀恵が好演した『ごくせん』(日本テレビ系)や、泥沼愛憎劇の昼ドラ『真珠夫人』(フジテレビ系)が高視聴率。 流行語には「タマちゃん」「W杯」「ムネオハウス」など。■平成14年の主な出来事1月1日 ヨーロッパ12か国の単一通貨『ユーロ』現金流通開始4月28日 福岡・久留米看護師連続保険金殺人事件の容疑者4人逮捕5月31日 ワールドカップ日韓大会開幕6月3日 中山美穂が辻仁成と結婚6月19日 鈴木宗男衆議院議員があっせん収賄容疑で逮捕8月5日 住民基本台帳ネットワーク開始8月7日 多摩川で発見されたアゴヒゲアザラシ『タマちゃん』が人気沸騰9月17日 小泉純一郎首相が北朝鮮訪問。金正日総書記が日本人拉致を認めて謝罪9月17日 アイロボットよりお掃除ロボット『ルンバ』発売10月9日 島津製作所の田中耕一さんが東京大学の小柴昌俊名誉教授に次いでノーベル賞受賞10月15日 日本人拉致被害者5人が北朝鮮から帰国11月21日 高円宮憲仁さまがご逝去※女性セブン2018年11月29日・12月6日号
2018.11.19 16:00
女性セブン
急増する訪日外国人に鉄道業界はどう対応しているのか
急増する訪日外国人に鉄道業界はどう対応しているのか
 2017年の訪日外国人は2869万人。2018年は自然災害の影響で減少しているといわれるが、それでも1~9月累計で2346万8,503人を記録している。増える訪日外国人に対応したサービスも増えている。ライターの小川裕夫氏がレポートする。 * * * 日本の少子高齢化の潮流は、とうぶん改善傾向を見せそうもない。人口減少が顕著になれば、経済・社会・産業あらゆる面で日本は衰退を余儀なくされる。それは、沿線人口が利用者数に直結する鉄道業界も同じだ。 しかし、大手私鉄16社の2017年度輸送人員は約103億8600万人となり、過去最高を更新。国内の人口が減少局面を迎えているにもかかわらず、大手私鉄が利用者を増やしている要因はいくつかある。その中で、訪日外国人観光客数の増加が最大の要因であることは間違いない。 一時期、政府は訪日外国人観光客数の目標を2020年までに2000万人としていたが、これはあっさりとクリアした。その後、目標値は上方修正を繰り返し、現在は2020年までに4000万人と倍の目標を設定している。 訪日外国人観光客が急増する背景には、円安の進行に加えビザの緩和といった複数の要因がある。特に、小泉純一郎内閣が2005年に制定した外客誘致法もその潮流を後押しした。 外客誘致法の成立を受け、後任の第一次安倍晋三内閣は外客誘致のためのガイドラインづくりを進めた。鉄道関係では、「公共交通機関における外国語等による情報提供促進措置ガイドライン」を策定。 同ガイドラインでは、日英の2か国語とピクトグラムを基本の表示とし、地域の事情に合わせて中国語や韓国語の表記を加えることが示されている。 訪日外国人観光客が年間2000万人超に増えたとはいえ、大半は中国・台湾・香港・韓国からの観光客だった。 羽田・成田・日光・高尾山といった外国人観光客を多く見る空港や観光地では、もはや日英中韓の4か国語の表記は当たり前になった。特に観光地がない路線でも日英中韓の4か国語は日常風景として溶け込み、駅ホームや車内の案内表示でも目にする。 外国人観光客でごったがえす浅草を擁する台東区では、スペイン語やフランス語といった話者人口の多い言語だけではなく、インドネシア語やタイ語の観光パンフレットも作成。JR東日本は、今年12月から日光線内を走る電車の車内放送に中国語とスペイン語を追加することを発表した。 今後、東京をはじめ国際的な観光地のみならず広い範囲で多言語化は進むだろう。 多言語化が外客誘致の第一段階とすれば、現在は第二段階の時期にさしかかっている。 外国人観光客は長期滞在の傾向があるため、多くの旅行者が大きなキャリーバッグを持ち運びする。空港アクセスを担う列車には、そうしたキャリーケースを積み込む専用スペースが設けられている。 そして2017年12月、小田急の新宿駅に珍妙な設備が登場した。それは、トイレに通じる通路の手前に設置されており、一見すると何のための設備なのか、どう使用するのかわからない。 しかし、隣にキャリーケースがつながれているのを目にすれば、それがキャリーケースをトイレに持ち込まなくて済むようにするための設備だとわかる。「新宿駅のトイレに設置された設備は、“バケージポート”と呼ばれるものです。その役割は、大きな荷物をトイレに持ち運ぶことなく用を足せることです。トイレは多くの人が利用しますから、大きな荷物は邪魔になります。そうした大きな荷物によるトラブルをなくすために、バケージポートを設置しました」(小田急電鉄CSR・広報部) 現在、小田急新宿駅トイレに設置されたバケージポートは、1日10件ほどの利用があるという。まだ稼働率は高くなく、新宿駅にしか設置されていない設備だが、バケージポートは利便性向上に資する設備でもある。それだけに、外国人観光客利用の多い駅で設置が進むだろう。また、長期滞在の観光客を取り込むのにも有効な措置でもある。 こうした施設を追加するには改修工事を必要とするので、簡単に導入できるものではない。しかし、各社とも2020年の東京五輪を見据えて動き始めている。 五輪開幕まで残すところ一年半。外国人観光客4000万人時代を迎えるにあたり、鉄道サービスの深化は続く。
2018.11.18 16:00
NEWSポストセブン
平成13年を振り返る 9.11テロ、USJ開業、小泉内閣など
平成13年を振り返る 9.11テロ、USJ開業、小泉内閣など
 来年の春で幕を閉じる「平成」の時代には、様々な出来事があった──。今回は平成13年(2001年)の重大ニュースを振り返る。 米国史上最悪の被害をもたらした、アメリカ同時多発テロ事件(9.11事件)が発生。ハイジャックされた旅客機4機のうち2機がニューヨークの世界貿易センタービルに相次いで衝突。1機は米国防総省(ペンタゴン)に激突し、1機はピッツバーグ郊外に墜落。約3000人以上が犠牲になった。米国は、アフガニスタンに潜伏中のオサマ・ビン・ラディンを首謀者とするグループの犯行と断定。支援するタリバン政権を攻撃し、崩壊させた。 国内では森喜朗前首相の退陣表明を受け、小泉純一郎内閣発足。田中眞紀子外相ら過去最多の女性閣僚5名を登用。 大阪では小学校の通用門から校内に侵入した宅間守(2004年に死刑執行)が児童らを刃物で襲撃。2年生の女児7人と1年生の男児1人が亡くなり、児童と教諭あわせて15人が重軽傷を負った。この事件を機に各地の学校で校門の施錠や防犯カメラの設置等、安全対策が強化された。 9月、国内で初めて狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)に感染した牛が発見された。国民の牛肉離れが進むなか、店頭に「お願い 助けてください」と張り紙をして話題を呼んだ『ペッパーフードサービス』の一瀬邦夫社長は現在ステーキ専門店『いきなり!ステーキ』で大当たり。 うれしいニュースでは、12月1日、皇太子ご夫妻に第1子がご誕生。敬宮愛子さまと命名された。 芸能界では人気絶頂だった反町隆史と松嶋菜々子が入籍。記者会見はふたりが交際するきっかけとなったドラマ『GTO』の撮影場所、フジテレビ内で行われた。映画では宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が観客動員数日本最高記録の2350万人を達成。 ヒット商品では携帯型デジタル音楽プレーヤー『iPod』。この年の流行語は「塩爺」「『明日があるさ』」など。■平成13年の主な出来事1月22日 初の外国人横綱・曙が引退2月22日 反町隆史と松嶋菜々子が入籍会見3月3日 『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』オープン4月1日 家電リサイクル法施行。食品リサイクル法も5月に施行4月6日 配偶者暴力防止・被害者保護法(DV防止法)成立。10月13日施行4月26日 第1次小泉内閣発足6月8日 大阪・池田市の大阪教育大附属池田小学校で男が児童8人を刺殺9月4日 『東京ディズニーシー』オープン9月10日 BSE(狂牛病)に感染した乳牛が日本で初めて見つかる9月11日 米・同時多発テロ事件が発生10月1日 NTTドコモが第3世代移動通信システム『FOMA』開始11月17日 アップルから『iPod』が発売12月1日 敬宮愛子内親王がご誕生※女性セブン2018年11月22日号
2018.11.11 16:00
女性セブン
冷笑系、DD論者… ネットで「現実主義者」が揶揄される理由
冷笑系、DD論者… ネットで「現実主義者」が揶揄される理由
 ネット上で政治的なテーマを扱う場合、意識しなければならないのが、「保守とリベラルのレッテル貼り」からいかに逃れるか、という問題だ。だが一方でそうした「党派」のレッテルから逃れたとしても、批判対象となり得るという。それはいったい、どういうことなのか。『言ってはいけない』(新潮新書)、『朝日ぎらい』(朝日新書)などの著書がある作家・橘玲氏と、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書があるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が語り合った。(短期集中連載・第5回)中川:昨今のネットでは、「お前はどっち側だ」みたいなことの旗幟を鮮明にしなくてはいけないような雰囲気があります。小泉純一郎氏がその先鞭をつけたのでしょうが、「郵政民営化に賛成か、反対か!」みたいなところから始まり、2014年の東京都知事選でも細川護熙陣営について「原発に反対か、賛成か!」とやった。ここしばらくの沖縄県における選挙の「オール沖縄vsそれ以外」もそうです。小泉氏の時は、反対派に「刺客」を送り、落とそうとし、女性の刺客は「くノ一」なんて呼ばれた。そうした旗幟を鮮明にすることが分かりやすく表れるデモにしても、同じ立場の人々がいっぱいいたら安心するし、ここにいる人たちで社会をどんどん良くするんだという高揚感も出てくる。だからこそ皆で行進しているうちにどんどん過激化し、「朝鮮人をガス室に送り込め!」なんて叫んだりする。橘:在特会(在日特権を許さない市民の会)系のデモですよね。こんなグロテスクは主張が許されないのは当然ですが、郵政民営化や原発問題も含め、その背景にある論理は同じなんじゃないかと思っています。「俺たち」と「奴ら」に集団を分割して、「俺たち」を光と善、「奴ら」に闇と悪のレッテルを貼って、善(正義)が悪を叩くことで世界が救済される。この図式は、右も左も同じですね。中川:そこでちょっと厄介なことが1個あって、今みたいな橘さんの分析は正論だと思うのですが、そういう発言をすると“冷笑系”と言われる傾向があるんです。これが、私もそうですけど、橘さんのように客観的に物事を批評する人を揶揄する言葉になっています。別に笑う要素なんて一切ないから、ただ呆れてるだけなんですけどね。橘:たしかに「冷笑派」と言われることはあります。中川:言われます? あと“DD論”という言葉もあるじゃないですか。橘:DD論って何ですか?中川:どっちもどっち論。対立した意見があるときに「どっちもどっちじゃないか」っていうスタンスでいることを揶揄する際に使われる言葉です。橘:それはまさに私にぴったりですね。こんど使わせてもらいます(笑)。中川:DD論に反発するのは主に反差別活動家の側ですが、「ヘイトスピーチはダメに決まっているじゃないか、どっちもどっちじゃなくて、オレらは正しいんだ。ダメなものを潰すにはこちらも過激になるしかないだろ」ということです。「お前達は我々をレイシストと一緒にするんじゃない、どっちもどっちというお前こそ差別に加担している冷笑主義者である」という流れになる。 DD論を批判する反差別界隈からすれば、中間層による「過激過ぎでは……」「どっちも支持できない」という意見がむかついて仕方ないし、ネトウヨよりも冷笑系がタチが悪いと考えている面もあります。なぜなら自分達は反差別活動という人の道に沿った活動をしているから、それを邪魔する敵であると認識する。そして、「オレ達だって本当はこんなことやりたくない。差別するヤツが存在しなければこんなことやらないで済む」と追記する。いや、差別をしていないオレのことも糾弾してるじゃないか、としか思えないんですけど。すると「お前のその態度がレイシストを利するのだ」なんて言ってくる。まぁ、なんでもかんでも差別やヘイト認定し糾弾するので、全然説得力ないんですけどね。橘:IS(イスラーム国)のいちばん敵は、キリスト教でもユダヤ教でもなく同じイスラームですよね。「ムハンマドやクルアーンはデモクラシーや男女平等を否定していないし、近代的・世俗的な市民社会とイスラームの信仰は共存できる」という寛容で真っ当なイスラームこそが彼らの最大の敵で、「タクフィール(背教者)」のレッテルを貼って「絶滅」しようとする。 キリスト教やユダヤ教はイスラームと同じ神をちがうやり方で信仰しているだけですから、過激なイスラーム原理主義の論理でも、ジズヤ(人頭税)を払えば信仰をつづけることが許されます。それに対してイスラームの「異端」はクルアーンを冒涜しているのだから、どんなことをしても許されることはない。スンニ派とシーア派の対立も同じですが、自分たちとはあまり関係のない異教徒には寛容で、すぐ隣にいる「異端」は皆殺しにして当たり前という理屈になっていきます。「リベラル」の中での対立も同じで、自分が正義の側にいることを証明しようと思ったら、右翼を叩くより曖昧なリベラルを叩いたほうがいい。これがセクト闘争の定番で、それと同じことがネットを舞台として起きているんだと思います。◆「社会の状況にあわせて自分を最適化していく」中川:不思議なのが、ネトウヨの側ではこういう内部分裂が無いということですね。一応一致団結するんですよ、彼らは。橘:たしかに、どっちがより愛国かで喧嘩するというのは聞いたことがないですね。中川:彼らの場合は、愛国もクソもないと思うんですよ。基本的に、韓国と中国が嫌いというだけなんです。そこが原動力なので、「ネット右翼」という言葉自体がそもそも違うと思っていて、ネトウヨというよりも「嫌韓派」とか「韓国フォビア」とか、そういった言葉の方がしっくりくるかなと思っています。彼らは日本の上空のかなり広い部分を支配している米軍が定めた「横田空域」を批判しない。こっちの方がよっぽど日本にとっては主権が脅かされている話だっていうのに……。沖縄の米軍についても、「中国が侵略してくるから必要だ」という理屈から、基地反対派を売国奴扱いする。ちょっとちょっと、お前ら元々「在日特権を許すな!」と主張していたけど、もっとも在日特権持ってるのって米軍でしょうよ。橘:私の理解だと、ネトウヨは右翼ではなく“日本人アイデンティティ主義者”ということになります。彼らは「自分が日本人であるということ以外に誇るもののないひとたち」で、「反日」「売国」を攻撃することでしか自分たちのアイデンティティ(社会的な自己)を確認できない。在日米軍は反日でも売国でもないから、日本の上空を好き勝手に飛行していてもどうでもいいんでしょう。中川:右翼は途中で飽きちゃうんじゃないですか、運動自体に。ネトウヨの場合だと、彼女ができたからやめるみたいな、感じもあるようです。橘:トランプを支持する“白人アイデンティティ主義者”も同じですが、彼らを突き動かすのがロジックではなく心情だからじゃないですか。だからちょっとしたきっかけで、別の世界に移っていったりする。それに対して左の方がもっと原理主義的で、「自分たちだけがロジカルな正義を独占している」と主張する。中川:多分ネトウヨの方が若干後ろめたさを持っているから、早くやめることができると思います。どう考えても「朝鮮人は死ね」みたいな主張が正しいわけがない。だから最近「元ネトウヨでした」とツイッターで表明する人がポツポツと出てきているのかもしれません。左翼の場合はとにかく正義の側としての大義名分があるし、社会を良くしているという認識があるからやめられない、という違いかもしれません。趣味であるかガチであるか、という違いだと思うんですよね。ガチといっても、いつしか趣味=糾弾、みたいになって何にでも難癖付け出す人も出てくるのが困ったところです。橘:「冷笑系」と言われるのは、デモなんかしても社会は変わらないし、正義を振りかざすともっとヒドいことなると考えているからだと思います。私のいちばんの関心は自分が幸福になることで、仮によりよい社会が実現したとしても、その代償として自分が不幸のどん底に突き落とされるならなんの意味もない。こういうことをいうと「エゴイスト」と批判されるわけですが、ナチスは「よりよい社会をつくる代償としてユダヤ人を絶滅すべきだ」と主張しました。 2017年に『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)という本を出して、専業主婦の方から「自分たちをバカにしている」と叩かれたんですが、たしかに、子どもを産んだ女性が会社を辞めて専業主婦にならざるを得ない実態が日本社会にあることは間違いありません。こうした性差別をなくし、すべての女性が男性と対等にいきいきと働ける社会に変えていかなくてはならない、というのもそのとおりだと思います。でも、そうやって「よりよい社会」の実現を待っていたら何十年もたってしまう。いま20歳の女性に、「50歳や60歳になれば男女平等の理想社会がやってきます」といっても、まったく説得力がないでしょう。だとしたら、いまの日本が女性が差別される残念な社会であることを前提としたうえで、そのなかで自分と家族がいかにして幸福になるかを考えるほかはない。それが私の基本的な発想です。中川:それって社会の状況に合わせて、自分が変わっていく方が良いということですか?橘:ゲームのルールに合わせて攻略法を最適化していく、という感じですね。ネットで、「橘玲ってようするに“ハッカー”でしょ」という評を見かけて「なるほど」と思ったんですが、私がこれまで書いてきたものは、金融市場とか日本の税法とか、自分たちが生きている世界のいろんなバグを見つけて、「それを上手に利用すればかんぜんに合法的にこんな面白いことができるよ」という情報提供です。ハッカーの論理では、プログラムは完璧なテキストに従ってつくるのではなく、バグを見つけて面白がる連中がいるから試行錯誤で修正されていくわけじゃないですか。それと同じで、社会をよりよいものにしていくのはデモではなく、みんながバグを見つけて「悪用」することなのかもしれない。為政者はそれに対応しなければなりませんから、その結果、これまでよりずっと公正で効率的な社会に変わっていくのです。◆安倍首相が辞めたら攻撃対象がなくなって“安倍ロス”が起こる?中川:私も与件主義というか、与えられたもので最適なものは何かを考えます。デモが通用しないということは、これだけ反政権デモをこの5年間やり続けてきても政権はビクともしないことから明らかになっているのではないでしょうか。在特会系のデモにしても、「日韓断交」を何度も訴えているのに、そんなことになる気配すらない。この手法が共感されないということは何回も証明されているのだから、それだったら他の手法を考えようぜと。安倍政権を倒したいんだったら、自民党の中で石破茂氏とか有力な議員を左翼が担ぎあげるくらいのことをやるとか、そっちとかの方がいいんじゃないかとか思っちゃうんですよね。野党のやり方っていうのは、安倍はこんなに極悪だと言い続けて、それが5年以上続いていると思うんですよね。ところが……。橘:やっぱり、発言すること自体が快感になっているんじゃないですか。中川:たとえば小池晃氏、福島瑞穂氏、菅直人氏、福山哲郎氏あたりって、デモに行けばよくいる面々じゃないですか。それって効果ないのに何であの人たちはやり続けるんだろう、とつくづく不思議でなりません。別のことを考えろと思っちゃうんですよね。これまでにやってきたデモって、「共謀罪許すな」「戦争法案許すな」「民主主義を守れ」なんかがありましたが、それが国民全体の大きな共感を得て全体を覆すようなムーブメントになったかというと、疑問が残ります。今こそ「消費増税許すな」デモを仕掛けるチャンスで、これぞ野党が支持を得られるイシューだと思うんですよね。まぁ、どうせやっていく内に「アベは退陣を!」みたいなデモに変化するのは予想がついてしまいますが。橘:安倍さんが辞めたら、“安倍ロス”が来るんじゃないですか。攻撃の対象が消えてしまうから。同じように朝日新聞がなくなれば、叩く対象がなくなって“朝日ロス”がやってくるでしょう。実際、右翼・保守派は民主党(民進党)がなくなって“民主党ロス”に苦しんでますよね。一部の雑誌に見られるような「朝日」への異様なバッシングも、ほかに叩く相手がいなくなってしまったという「喪失感」が背景にあると思います。中川:あり得ますよね。「反アベ」って団結の良い旗印なんでしょう。デモだってその仲間と出会える場所。これを言うと、「お前はデモにも来てないで、闘ってもないくせに安全な外野から冷笑しやがって、オレ達は闘ってるんだ!」と叩かれる。「闘ってる」っていつまで革命ごっこやってるんだよ、って話ですよ。チェ・ゲバラに憧れ過ぎです。橘:世代論はあまり好きじゃないですが、それをやってるのって団塊の世代の全共闘の人たちですよね。私は全共闘の下の世代で、「お前たちは安保闘争も体験しないで、『なんとなくクリスタル』みたいな薄っぺらい商業主義丸出しの本を読んで喜んでいるだけだ」とさんざん言われたから、正直、あの人たちと一緒にされたくないっていうのはすごくありますね。もちろん日本は自由な社会だから、国会前で青春時代を追体験したいならどうぞお好きに、ということです。でも私はやりません。中川:私は橘さんより10歳以上年下ですが、私が通っていた大学には、当時活動家が6人くらいいたと記憶しています。学生数は学部全体では4000人くらいなんですけど、その6人が学校中のビラのそれなりの割合を作っている。しかも、ゲバ文字の建て看をよく作っていた。中身は覚えていないけど、基本的には反政権・反天皇だったと思います。彼らは国旗を掲揚するのを阻止する運動をしたりとか、旗を掲げる屋上に至る階段のところで座り込みをしたりするんですよ。それに対して、そんなのやらないでいいじゃんというのが、当時の我々、全共闘世代の2周り以上下の感覚です。日章旗と天皇を侵略の象徴とはもう捉えていないんですよ。橘:左翼的な人が嫌われるのは、中途半端に頭が良いから、自分の正しさをロジカルに説明しようとしてどんどん過激化していくからですね。大学時代、社会科学系のサークルに所属していたこともあって、革マル派の(元)学生たちがたまにオルグに来たので、つるし上げのグロテスクさというのは経験的に知っています。右翼は心情でつながっているので、「君とは考え方がちがっていてもウマが合うから友だち」みたいな、わりと緩いところがありますよね。それに対して極左は、相手を徹底的にロジックで追い詰めたうえで、「あなたが100%正しく、私が100%間違っていた。これからはすべてあなたに従います」と土下座しない限り許さないみたいな、そういう原理主義の恐ろしさがあります。中川:私はしばき隊(レイシストをしばき隊)のことを5年間ずっとウォッチし続けてきたんですけど、相当な人数が離脱していってますね。コアメンバーはずっと一緒ですが、批判側に転向する人は案外冷静な分析をしていたりする。コアメンバーが数名いて、絶対に裏切らない人たちがいるほか、彼らに尻尾を振る鉄砲玉みたいな連中もいる。でも、この鉄砲玉連中はまったく相手にしてもらえず、少し可哀想です。先日、彼らの別働隊の元メンバーの男性が亡くなったのですが、彼が亡くなった途端、女にだらしなかったと叩き始める人が出てきて、「セクハラは確かにマズいけど、お前さー、元の仲間にそれはないだろ? 生きている内にちゃんと注意しておけよ。死体蹴りしてるんじゃねぇよ」っていう右翼が今度は出てきてしまいます。離脱があまりに多いし、内ゲバが多いなって思っちゃうんですよね。橘:それは革命の論理で、連合赤軍と一緒ですね。結局、人間なんて何千年、何万年と同じことを繰り返しているだけで、いまも難しそうなロジックを振りかざしてはいるものの、原始時代の部族闘争をやってるんだと思います。自由な社会はそういう人たちも許容しなければならないんですが、自分の半径10メートル以内には近寄ってきてほしくない、という感じですね。(続く)◆橘玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『(日本人)』『80’s』など著書多数。◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):ネットニュース編集者。1973年生まれ。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』『縁の切り方 絆と孤独を考える』など著書多数。
2018.10.30 16:00
NEWSポストセブン
二股批判で男を下げた小泉進次郎氏に立ちはだかる橋下徹氏
二股批判で男を下げた小泉進次郎氏に立ちはだかる橋下徹氏
 すっかり男を下げた小泉進次郎氏が巻き返しの“次の一手”を探っている。総裁選の対応が「安倍と石破に二股をかけた」と批判され、記者会見で早く態度を表明しなかった理由を問われてうっかり「ネクストバッターズサークル」すなわち“次の打順を待っている”と口を滑らせ、安倍側近から「すごい自信だな」と皮肉られる始末。将来の総裁の座が遠ざかったと見られている。 進次郎氏が名誉挽回に力を入れたのが沖縄知事選の応援だ。3回も現地入りして街頭演説に立ち、集客力が健在なことをアピールした。気になるのは彼の視線が誰を向いていたかだ。「そりゃ菅義偉・官房長官ですよ。知事選の指揮を執る菅さんを喜ばせたかった」 そう語るのは親交のある中堅議員だ。菅氏のほうも、「将来は河野太郎か小泉進次郎だ」と公言している。「党内で逆風にさらされている進次郎には派閥の庇護もない。総理・総裁を目指すには強力な後見人が必要だと本人も思い知ったはず。安倍総理が“最終任期”を迎え、官邸の司令塔として政権を支えているのは菅さん。来年の参院選で自民党が大敗すれば、安倍退陣で菅さんのワンポイントリリーフもありうる。頼るなら菅さんと判断するのはわかる」(同前) そんな進次郎氏の前に立ちはだかるのが、こちらも菅氏と強いパイプがある橋下徹氏だ。『政権奪取論 強い野党の作り方』を上梓し、総裁選後のテレビ出演では、進次郎氏の態度について「意味不明。本当に残念」と一刀両断。“将来の首相候補”である進次郎氏との違いを見せることで政界に新たな旗を立てようとしているようにも映る。大御所の経済評論家、堺屋太一氏はこう評する。「次世代の政治家に求められるのは、役人が国民の人生まで決める官僚主導を排すること。橋下さんは知事や市長時代、大阪商人の発想で役人が決めた役所の仕組みを壊していった。進次郎さんの父の小泉純一郎さんは、1人で郵政民営化を言い続けた信念の人だったが、進次郎君はどこが偉いのかまだよくわからない。 農業のことを熱心に勉強していたようだが、日本の農業をどうしようというのか見えてこない。リスクを取らなかった総裁選の対応を見ると、官僚と対峙するより、官僚がお膳立てした安全な生き方に乗るタイプという印象を受ける」 確かに、進次郎氏はリスクに敏感で父や橋下氏のような政治的大博打を打つタイプではなさそうだ。 となれば、今回は分が悪いと見て早々にポスト安倍のネクストバッターズサークルを出て、「菅内閣の官房長官」あたりをめざして修行を積む戦略に切り替えたということか。※週刊ポスト2018年10月12・19日号
2018.10.03 16:00
週刊ポスト
「陛下は靖国を潰そうとしてる」靖国神社トップが「皇室批判」
「陛下は靖国を潰そうとしてる」靖国神社トップが「皇室批判」
 天皇が「深い悲しみを新たにいたします」と述べた平成最後の終戦記念日、靖国神社(東京・九段北)には安倍晋三首相はじめ現役閣僚の姿はなく、中国や韓国も一頃ほど神経をとがらせなくなった。しかし、その落ち着きの裏で、靖国神社は“爆弾”を抱えていた。来年、天皇の「代替わり」と創立150年が重なる大きな節目を目前に、前代未聞の問題発言が神社トップである宮司から飛び出したのだ。◆「そう思わん?」「わかるか?」 靖国神社では今、来年の創立150年に向け、境内のいたるところで改修工事が行なわれている。だが、その内部では、修復不可能なほどの“綻び”が生じていた。 6月20日、靖国神社の社務所会議室で行なわれた「第1回教学研究委員会定例会議」で、その重大事は起きた。今年3月に第十二代靖国神社宮司に就任した小堀邦夫氏(68)が、創立150年に向けて新たに組織したのが「教学研究委員会」だった。これからの靖国神社がどうあるべきかを考えるとして、第1回の会議には、小堀宮司以下、ナンバー2である権宮司など職員10人が出席したことが当日の議事録に残されている。 その会議の場で、靖国神社のトップである小堀宮司から、驚くべき発言が飛び出した。「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ。そう思わん? どこを慰霊の旅で訪れようが、そこには御霊はないだろう? 遺骨はあっても。違う? そういうことを真剣に議論し、結論をもち、発表をすることが重要やと言ってるの。はっきり言えば、今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ。わかるか?」 さらに発言は、代替わりで次の天皇となる皇太子夫妻にも向けられた。「あと半年すればわかるよ。もし、御在位中に一度も親拝(天皇が参拝すること)なさらなかったら、今の皇太子さんが新帝に就かれて参拝されるか? 新しく皇后になる彼女は神社神道大嫌いだよ。来るか?」 静まり返る会議室で小堀宮司の高圧的な口調の“独演”と、速記のキーボードを打つ音だけが響く──。 この会議は、小堀宮司の意向もあって複数の出席者が記録のために録音していた。宮司の「総括」から始まる110分に及ぶ音声データを本誌は入手した。 小堀宮司が語気を強めたのは、今上天皇が即位以来、一度も靖国を参拝したことがない一方、かつての戦地を訪れ、戦没者の霊を慰める旅を続けてきたことを指しているとみられる。皇室ジャーナリストの久能靖氏はこう言う。「今上天皇が靖国を参拝されない理由はわかりません。が、あえて推察すれば、昭和天皇が1978年のA級戦犯合祀以来、靖国においでにならなくなった、その思いを咀嚼されたのではないかと考えられます。今上陛下は戦争体験をお持ちで、戦中の国民の苦しみは直接ご存じでした。だからこそ、国内外にわたるすべての戦地で慰霊を行ないたいというお気持ちになられていたと思います。天皇陛下の慰霊の旅は、強い信念に基づいて行なわれているものでしょう」 その慰霊の旅が、小堀宮司の目には靖国神社を否定する行為に映っていると、靖国神社関係者が言う。「小堀宮司からすれば、英霊の御霊は靖国にこそあり、戦地にはない。にもかかわらず、今上天皇は靖国よりも慰霊の旅を選んでいるとなると、靖国の存在意義を否定することになってしまうという思いがあったのではないか」 しかし、この発言は靖国神社内でも問題視された。「勅祭社(天皇が例祭などに勅使を派遣し、奉幣を行なう神社)としての靖国神社の性格を考えると、天皇陛下を批判するような発言は、宮司として問題ではないかという声が上がっています」(同前)◆「お前の説教、聞きたくないよ」 靖国神社は来年までに天皇の参拝を実現させようとしていた。靖国神社職員はこう語る。「平成の御代のうちに天皇陛下にご参拝をいただくことは、私たち靖国神社からすると悲願なのです。小堀宮司は、“平成の御代に一度も御親拝がなかったらこの神社はどうするんだ”と口にしていました。そうして宮内庁に対し、宮司自らが伺って御親拝の御請願を行なうための交渉を内々にしているのですが、まだ実現の目処は立っていない」 小堀宮司は専門紙「神社新報」で、〈(創立)五十年目に大正天皇が行幸され、百年目には昭和天皇が皇后とお揃ひで行幸されてゐます。そして来年、百五十年といふ大きな節目の年がやってくることの重大さは、御代替りと相俟って深刻に考へてゐます〉(7月30日付)と語っていた。 天皇の参拝を求める焦りが発言の背景にあったのだろうか。問題発言に至るやり取りを見ると、小堀宮司の真意が分かる。 この日の会議は、靖国の創立百五十年史略年表の作成・出版などについて話した後に「戦犯に対する誤解や東京裁判の不当さについて調査考証する」という議題に入った。そこで出席者の職員が「富田メモ」について言及したことが、小堀発言に繋がった。 富田メモとは、富田朝彦元宮内庁長官(在任は1978~1988年)が昭和天皇の非公開発言を記したメモで、靖国にA級戦犯が合祀されたことに関し、「だから、私はあれ以来参拝していない。それが私の心だ」との記述があった。2006年に日経新聞がメモの存在をスクープすると、「昭和天皇の真意が分かる超一級史料」と評価される一方、「陛下の真意とは限らない」と否定的意見も上がり、真贋をめぐる大論争となった。それに伴い、A級戦犯の靖国神社への合祀の是非や、小泉純一郎首相(当時)の靖国参拝議論も過熱した。 靖国神社はこの富田メモについて、現在に至るまで一切コメントしていない。だが、実際は“深い棘”として刺さっていたようだ。 この富田メモについて、職員が、「もしそれが本当の昭和天皇の発言だったらどうするんだ、ということで私は真剣に考えましてですね」と言い出し、合祀の経緯を振り返った上で、こう熱弁を振るった。「このまま時代を50年、100年経過していったときにどういうふうな説明をして、国民が理解していけるのか、というところの先読みしたような考え方を持っていく必要があるんじゃないか」 ところがこの職員の発言を、小堀宮司はいきなり遮り、切って捨てた。「お前の説教、聞きたくないよ。しょうもない。お前のどこに戦略があんねん。『これ知ってます、私はこれ知ってます』っていう話ばっかりやないか。どうやって戦うかを考えるんがこの仕事やないか。何も恐れる必要はない。間違ってたら間違ってたと言えばいい。(中略)戦略を考えるのは俺が考える。君らが考えんでいい。一番大きな問題はあの慰霊の旅です。気がつかないのか君たちは」 そうして、冒頭の発言が飛び出した。つまり、小堀発言は富田メモから連なる、天皇と靖国の“複雑な関係”が伏線にあったのだ。「富田メモについては靖国神社の中でも“タブー扱い”されてきた。昭和天皇、今上天皇の御親拝が途絶えている真意についても触れないできたわけです。 小堀宮司は、そうした空気の中で、トップとしての風格を見せる狙いもあってああした物言いをしたのではないか。『戦う』『戦略』といった言葉からは、どんな事情が背景にあるにせよ、とにかく天皇の御親拝を実現させたいという強い意思を感じます。しかし、それが実現しないことの不満となれば、天皇陛下への批判となってしまう。靖国神社が抱えるジレンマが、ついに噴出してしまったということでしょう」(前出・靖国神社関係者)◆「皇太子さまは輪をかけてくる」 発言の主である小堀宮司とは、どんな人物なのか。 小堀宮司は、3つの大学、大学院を出たあと伊勢神宮に奉職。以来、伊勢神宮一筋で、宮司を補佐する禰宜(ねぎ)という要職に登り詰めた。 靖国の前宮司・徳川康久氏が、戊辰戦争の“賊軍”である幕府軍や会津軍の戦死者も合祀に前向きな姿勢を示したことなどが問題視され、「一身上の都合」で辞任したのを受けて、靖国の宮司に就任した。 伊勢神宮時代には、メディアにも何度か登場している。2016年に天皇が生前退位の「お気持ち」を表明された際には、中日新聞(2016年8月9日付)の取材に、〈苦心されてお言葉を選ばれたのだろう。天皇陛下が『伝統の継承者』であり続けるため、現行制度の問題を問い掛けているのでは〉と賛同する姿勢で答えていた。 ところが、教学研究委員会では、まったく別の意見を述べている。「あのビデオメッセージで譲位を決めたとき、反対する人おったよね(中略)正論なんよ。だけど正論を潰せるだけの準備を陛下はずっとなさってる。それに誰も気がつかなかった。公務というのはそれなんです。実績を陛下は積み上げた。誰も文句を言えない。そしてこの次は、皇太子さまはそれに輪をかけてきますよ。どういうふうになるのか僕も予測できない。少なくとも温かくなることはない。靖国さんに対して」 生前退位に反対だったという本音をにじませ、皇太子に代替わりしても靖国との距離は広がるばかりだと危惧しているように聞こえる。◆「僕、出てませんよ」 一連の小堀宮司の発言について、宗教学者の島田裕巳氏はこう読み解く。「伊勢神宮は神社の世界では別格扱いで、そこにいたという自負が小堀宮司にあるはず。その感覚には少し浮き世離れした部分があり、発言がどのような問題を引き起こすかを認識しないまま思った通りに本音を話してしまったのではないか。 ただし、現在の天皇が靖国神社を参拝されないのは、好き嫌いの問題ではなく、政教分離の問題が大きいはず。なにより宮内庁が止めるはずです。昭和天皇の参拝が途絶えた経緯においても、A級戦犯の合祀より、当時の中曽根康弘首相が国際社会の反発を予想せずに公式参拝したことの影響が大きい。それは安倍首相が強行した参拝も同様で、首相参拝へのハレーションが、ますます靖国神社と天皇の距離を遠くしているという状況がある。果たして小堀宮司はそうした複雑さを理解した上で発言しているのでしょうか」 本誌は一連の発言の真意を確認するため、9月26日早朝、小堀宮司の自宅前で本人を直撃した。──6月20日の教学研究委員会で話されたことについてお聞きしたい。「何も知らないですよ」──いや、小堀さんが話されたことですよ。「教学研究委員会、僕、出てませんよ」──教学研究委員会ですよ。「ええ、出てませんよ」 そう質問を遮って、迎えの車に乗り込んだ。 靖国神社に会議での発言について見解を求めた。「教学研究委員会は、社外公開を前提としたものではございませんので、各委員の発言を含め会議内容などの回答は控えさせていただきます。また当委員会では、世代交代が進む御遺族・崇敬者のみならず、多くの人々に当神社をご理解いただくべく、神社運営や教学について研究・協議を始めたばかりです。その過程において、協議内容の一部分を抽出し、神社の見解とすることはございません」(広報課) 前述の富田メモは、靖国問題についての昭和天皇の「本音」が記されていたとして議論を巻き起こした。 それに対する靖国トップの「本音」と言うべき小堀発言は、どのような波紋を呼ぶのだろうか。*音声データは「News MagVi」(https://twitter.com/News_MagVi)にて公開中。※週刊ポスト2018年10月12・19日号
2018.09.30 16:00
週刊ポスト
小泉純一郎氏、とにかく女の話しかできないと先輩が評す
小泉純一郎氏、とにかく女の話しかできないと先輩が評す
 元参議院議員(自民党)の村上正邦氏(86)、元参議院議員(民主党など)の平野貞夫氏(82)、元参議院議員(共産党)の筆坂秀世氏(70)によって結成された合計238歳の「老人党」。その座談会から、ちっとも盛り上がらない自民党総裁選ではなく、テレビで大人気の小泉進次郎衆議院議員と、その父について語り合った部分をお届けする。筆坂:いまや総裁選より小泉進次郎のほうが、ワイドショーでは注目だよ。村上:私は大して買ってない。お父さんの威光をかざしているけど、そもそもその親父が大した男じゃないんですよ。森(喜朗)が総理になったとき、私は小泉(純一郎)に「お前が清和会の留守を預かるんだから、他の派閥の長に挨拶に行け」と連れて行ったんだよ。だけど、他の長に会わせても、彼は女の話しかできないから、話が続かない。政治の話ができないんだよ。そのくせ、大衆に訴えるのはうまい。進次郎もそれと似ている。平野:ただね、進次郎さんはまだ30代で、今結論を出すのは早すぎると思う。村上:それはそうだ。筆坂:彼は一種のスターで、タレントみたいなもの。あそこまで目立つと悪いことできないですよ。国民から常に監視されているんです。そういう政治家も大事。村上:だけど、親父のほうは女の話しかしないんだから。あの口から国家論なんて聞いたことがない。新橋の料亭で火鉢をいじくりながらあいつと話したことがあるが、女の話しか出てこなかったよ。平野:しかし、独特の勘の良さはあったよね。筆坂:あった。答弁を聞いていると、決して勉強しているとは思えないんだけど、質問を聞いている内に理解して、的確に答弁してた。小泉さんという人は、好き嫌いが分かれるけど、嫌いな人も政治家としては評価していた。だけど、安倍(晋三)さんって、彼を好きな人でもそんなに評価していない。なのに政権としては長続きしているのが不思議。平野:たいしたことない政治家だからこそ政権が続くのかもしれない。村上:私は安倍も小泉も評価しないよ。他の議員も「小泉と話したけど、あいつは女の話しかしない」って呆れてたんだから。筆坂:そればっかり(笑い)。村上:なんか、怒りを忘れたと言ったけど、だんだん腹が立ってきたよ。平野:編集部がもう止めたいと言っても続けるよ。これは我々の“終活”なんだから。いっそ老人党はやめて、村上党、いやいや、村上水軍にしよう。村上:ならば村上衰軍だ! 老いてもまだまだ戦うよ。※週刊ポスト2018年9月21・28日号
2018.09.20 07:00
週刊ポスト
総理経験者とゴルフの安倍首相、福田康夫氏は苦手なのでパス
総理経験者とゴルフの安倍首相、福田康夫氏は苦手なのでパス
 この夏、安倍側近と呼ばれる政治家と官僚は、山梨県鳴沢村にある首相の別荘に集まる顔ぶれとゴルフのメンバーをひそかに注目していた。 ゴルフで誰とラウンドするかでお友達の「序列」がわかるからだ。首相は、今年は別荘滞在中に4回ラウンドした。その1回目(8月16日)はニュースでも報じられた森喜朗氏、小泉純一郎氏、麻生太郎氏ら首相経験者との“総理コンペ”だった。 安倍首相がこの夏に小泉元首相らと行なった総理コンペには、当然いて然るべき旧森派の先輩である福田康夫・元首相が参加していない。細田派長老が語る。「安倍さんは福田さんを昔から苦手にしていた。生理的に肌が合わない人とは会いたがらない。福田さんも公文書改竄問題で安倍政治を激しく批判しているから、たとえ誘われてもゴルフは一緒にしない」 財界の大物にも、首相の「お友達」人脈から完全に排除された人物がいる。米倉弘昌・経団連名誉会長だ。 会長時代にアベノミクスの金融政策を「無鉄砲」と批判し、安倍氏とそりが合わなかった氏は退任後、一度も首相動静に登場しない。同じ経団連の榊原定征・前会長、御手洗冨士夫・名誉会長が安倍氏の別荘でのバーベキュー・パーティーに招待されてお友達のランクをひとつアップさせたのに対し、米倉氏はゴルフ、食事も一緒にしていない。※週刊ポスト2018年9月14日号
2018.09.07 07:00
週刊ポスト
安倍首相別荘訪問者 小泉、森、榊原に加え“悪だくみ”人脈も
安倍首相別荘訪問者 小泉、森、榊原に加え“悪だくみ”人脈も
 この夏、安倍側近と呼ばれる政治家と官僚は、山梨県鳴沢村にある首相の別荘に集まる顔ぶれとゴルフのメンバーをひそかに注目していた。 日本の政財官マスコミの中枢には安倍晋三・首相の「お友達人脈」が張り巡らされているが、別荘に招かれるかどうか、ゴルフで誰とラウンドするかでお友達の「序列」がわかるからだ。総裁選後の3期目の安倍政権で厚遇され“勝ち組”になれる人脈か、そうでないかの明暗も分かれる。 首相は、今年は別荘滞在中に4回ラウンドした。1回目(8月16日)はニュースでも報じられた森喜朗氏、小泉純一郎氏、麻生太郎氏ら首相経験者との“総理コンペ”だったが、その翌日、例の「悪だくみ人脈」が登場した。 昭恵夫人がフェイスブックに「男たちの悪だくみ」とアップした写真に首相や加計孝太郎・加計学園理事長とともに写っていた増岡聡一郎・鉄鋼ビルディング専務、高橋精一郎・三井住友上席顧問だ。 渦中の加計氏はいなかったが、かわりに昭恵夫人の弟の松崎勲・森永商事社長が一緒だった。首相はその日、昭恵夫人や「悪だくみ」メンバーと串焼き屋で夕食をともにし、翌18日、ゴルフを楽しんだ。 3回目(19日)は経団連の榊原定征・前会長、御手洗冨士夫・名誉会長ら財界人とのゴルフ。4回目(21日)は成蹊大学時代の友人とのラウンドである。 大げさな言い方をすれば、この別荘に集められた顔ぶれが、今後3年間の日本の針路を左右する人脈と言っていい。別荘に招かれたことがある安倍ブレーンの1人が語る。「お友達政治と批判的な言い方をされるが、総理は政治家や官僚はもちろん、財界人やブレーンも、本当に信頼する人物の言しか用いない。信頼されてインナーサークルに入ることで、政権に参画して国を動かす側に立てる。だから人事で干されるのではないかと不安に駆られ、呼ばれていないのに別荘に押しかけてきた政治家もいた」※週刊ポスト2018年9月14日号
2018.09.04 07:00
週刊ポスト

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