国際情報

自殺幇助合法のスイス 自国で安楽死できぬ外国人に機会提供

 オランダでは、2001年4月、世界で初めて安楽死法が成立し、翌年4月に施行された。オランダの他、国によって事情は違うが、ベルギーやスイス、アメリカの4州の法律で安楽死は認められている。

 いうまでもないが、日本では安楽死は認められていない。とはいっても、日本人が安楽死を選ぶ道がないわけではない。

「自殺幇助」が合法であるスイス──。1998年、チューリヒに設立された団体「ディグニタス」は、安楽死の機会を、自国の法律で禁じられている外国人に対して提供している。

 過去10年間で1000人以上の外国人の安楽死を手助けし、州警察の集計では、2011年には計144人(うち、外国人141人)に対して処置を行なった。その多くはドイツ人で、不治の病の末期患者だという。同団体の活動によって、スイスは世界中から「安楽死旅行(デス・ツーリズム)」の患者が集まる土地になっている。

 日本国内では近年、安楽死とは異なる「尊厳死」が徐々に広まっている。日本尊厳死協会副理事長で、長尾クリニック院長の長尾和宏氏が解説する。

「人為的に薬物で死期を早めることはなく、終末期に人工呼吸や胃ろう、人工透析などの延命治療をせず、自然な経過に任せるというのが尊厳死です。自然死、平穏死とも呼ばれます。

 たとえば、末期のがんであれば、過剰な抗がん剤治療を続けて最後の最後まで痛みに苦しむのではなく、緩和ケアを受けながら自然に死を迎えるというものです。私は勤務医時代に病院で500人以上、かかりつけ医として自宅で700人以上を看取ってきましたが、後者のほうが患者の最期の苦しみは穏やかで、家族の満足度も高いと感じてきました」

 法的に禁止されている安楽死とは違い、尊厳死は通常の医療行為の範疇と考えられている。日本の医療現場でも本人や家族、医師の判断で尊厳死は行なわれているのが現実だ。簡単にいってしまえば、9割が病院で死ぬ時代に、“家の畳の上で死にたい”と、自宅で看取られることを希望する1割の人の多くは、尊厳死を選択したということになる。

 日本尊厳死協会の会員が1990年の1万2000人から、現在では12万5000人に増えていることからも、認知度が高まっていることがわかるだろう。

※週刊ポスト2013年10月25日号

関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン