外交官時代の経験を生かされている(2022年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)

外交官時代の経験を生かされている(2022年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)

平和への祈りを服装に込められる

 雅子さまは日本国内だけでなく、世界で起きていることを注視され、思いを言外に表現されることも多い。昨年6月、雅子さまは陛下とともに「全国植樹祭」の式典にオンラインで出席された。この日、雅子さまが選ばれたのは鮮やかなブルーのセットアップ。式典ではハンカチを振って緑化への願いを表現する演出があり、雅子さまはイエローのハンカチを振られた。

「イエローとブルーの組み合わせはウクライナの国旗そのもので、昨年2月に始まったロシアからの侵攻に苦しむウクライナ国民へ寄り添う思いが感じられました。皇族は政治的発言ができない立場にありますが、雅子さまはスマートに服装で平和への思いを表現されたのです」(前出・皇室ジャーナリスト)

 海外での出来事にも目を配り、言葉を用いずに思いを伝えられる雅子さまのスタイルは、幼少期、そして外交官時代に育まれたものだろう。

「雅子さまは、東西冷戦時代のロシアとアメリカで幼少期を過ごされました。どのような主義の国であっても、市井の暮らしに違いはないことを身をもってご存じなのでしょう」(皇室記者)

 外務省勤務時代もその広い視野を生かされていたはずだ。

「世界にはさまざまなバックグラウンドを持つ人がいることを実感されていた雅子さまにとって、国や人種の違いは何の意味もなさないのでしょう。加えて、雅子さまは感受性がとても豊かで、誰の身に起きた不幸でも、わがことのように胸を痛められるのです。トルコ大地震でも、できることがあれば全力で手を差し伸べたい、と思われているでしょう」(前出・皇室記者)

 雅子さまの受け止める力と発信力は、日本国民と海外とをつなぐ懸け橋となりうる。

「雅子さまが世界で起きている災害や紛争に目を向けられることで、日本国民も海外への関心が高まりますし、反対に海外からの日本への意識も変わるでしょう。こうした変革は、皇后にしかできない、まさに皇室外交ではないでしょうか。外務省を退いたいまも、雅子さまは“外交官”なのです」(前出・皇室記者)

 雅子さま流の皇室外交は、コロナ禍の出口の先で、ますます花開くことだろう。

※女性セブン2023年3月2・9日号

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