国際情報

韓国人女性 反北意識で月のモノを「金日成が来た」と表現

かつて韓国では北朝鮮に対する批判意識が高かった。その後盧武鉉政権下での「太陽政策」などもあり国民の間では融和に動く向きもあるが、かつて存在した韓国の反共・反北朝鮮意識、そして現在の実態について、産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が解説する。

* * *
韓国で北朝鮮に対する批判や対決意識が強かったころ、いたるところに「滅共統一!」などといった反共スローガンが見られた。また観光地や遊園地の射的ゲームでは、標的に決まって金日成の似顔絵があった。

韓国国民にとって金日成は朝鮮戦争の元凶であり、悪のシンボルだった。だからその顔にコルク鉄砲を撃ったり、ボールを投げつけたりして溜飲を下げていたのだ。

そうした反北意識の最高傑作(?)にこんなものもあった。女性たちは毎月やってくる“月のモノ”を「金日成が来た」と言っていたのだ。当時、北朝鮮は「パルゲンイ(赤)」といわれていたからだ。

しかし1980年代末からのいわゆる民主化で、そうしたブラック(?)ユーモアを含め対北脅威感はすっかり後退してしまった。今や反共スローガンなどどこにも見当たらない。

ところで最近、反共時代を思い出させるエピソードがあった。韓国軍の射撃訓練場で、標的に金正日・正恩父子の写真が使われていたというのだ。現役部隊ではない除隊者たちによる予備軍の訓練で分かったという。

これがニュースになった際、軍当局はマスコミの問い合わせに対し「現場の判断によるものだ。昨年の哨戒艦撃沈事件や延坪島砲撃事件を受けて対北戦意高揚の意味がある」などと答えていた。

ところがこの話に北朝鮮がかみついてきたため、「北を刺激することはない」となって標的から外してしまったのだ。韓国軍は北朝鮮にあれだけやられながら、また“元の木阿弥”のようだ。こんなことまで自主規制するとは、軟弱さ(?)は相変わらずである。

※SAPIO 2011年6月29日号

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン