スポーツ

なでしこ宮間 五輪出場が決まった瞬間ホテルで全選手とハグ

ロンドン五輪の出場権を順当に獲得した「なでしこジャパン」。とはいえ、キャプテンの澤穂希選手ばかりが注目を集め、「個々のなでしこ」については、なかなかその素顔が伝わってこない。そこで、注目の新刊『なでしこジャパン栄光への軌跡 世界一のあきらめない心』を上梓したスポーツライターの江橋よしのり氏が、世界屈指の技巧派MF、宮間あや選手のエピソードを紹介する。

* * *
宮間あや選手の名前が世界の女子サッカー界に轟いたのは、4年前の女子ワールドカップ中国大会の時です。いきなり初戦のイングランド戦でFKを2発叩きこみました。今回のドイツ大会でも初戦のニュージーランド戦で決勝点となるFKを決めています。また、米国との決勝PK戦では、もっとも重圧がかかる1本目を見事に成功させています。

なでしこジャパンでは、キャプテン・澤穂希選手が圧倒的に注目されていますが、目立たないところで仲間の心を1つにまとめているのは、実はこの宮間選手なんです。ロンドン五輪予選では、中国が豪州に負けて、なでしこジャパンの本大会出場が決まりました。その瞬間、宮間選手はホテルで戦況を見守っていたなでしこジャパン各選手の部屋をすべてまわり、全選手とハグをして喜びをわかちあったそうです。仲間思いな宮間選手らしいエピソードだと思います。

プレースタイルを見ても、世界屈指のプレースキッカーであり、1本のパスで試合を決定づける宮間選手のファンは多いですね。

彼女は、「朝、目が覚めて、その日一番やりたい事がサッカーじゃなかったら、私はその日に引退します」と言うほど、人生の中心には、常にサッカーがあります。

中学・高校時代は『読売ベレーザ』(当時)に所属していて、ビーチまで徒歩30秒という千葉・九十九里浜の実家から練習場まで毎日往復7時間をかけて通っていたんです。幕張総合高校2年の時、さすがに「寝る時間がない」という理由でやむなく退団したんですが、その次の日には、高校の男子サッカー部の練習に参加していたそうです。

誰よりも負けず嫌いでいて誰よりも謙虚。自分より他人を思いやる気持ちが非常に強い性格の選手です。極めて重大な局面でのFKやPKを任され、「プレッシャーを感じないのか?」と聞いた時の彼女の答えが象徴的です。

「自身の見栄や私欲を考えたらプレッシャーに潰されます。でもチームのみんなの思い、日本で応援してくれるみんなの思いをボールに送るんだって考えてるから、大丈夫なんです」(宮間選手)

関連キーワード

関連記事

トピックス

「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン