国内

子供の「稀羅璃」等の名前は「夜露死苦」使ってた人々発の説

 最近は「光宙」(ぴかちゅう)、「羅舞」(らむ)、「夜舞刀」(やまと)、「稀羅璃」(きらり)、「魅留久」(みるく)といった読み方をさせた子どもの名前が区役所に届けられているという。いったい、いつから何をきっかけに、そのような名が登場し始めたのか。作家の山藤章一郎氏がリポートする。

 * * *
「お疲れさんです」

 歌舞伎町の広告代理店〈愛心社〉の応接ブースを「悪羅悪羅(おらおら)」系ファッションでキメた若者が次々に横切る。

 挨拶を受けているのは、岩橋健一郎さん(45歳)という。別称〈ヤンキー界の重鎮〉。

「まあまあ(週刊)ポストさん。ご苦労さまでございます」

 きれいに剃りあげた眉にスキンヘッドの迫力、たばこの煙を鼻と口から同時にプハアッと吐きだした。だが言葉は丁寧である。

「そりゃヤンキー漢字から来たんですよ。いいとこに気がつきなすった。愛羅武勇(あいらぶゆう)、仏恥義理(ぶっちぎり)とかを使ってた私たち不良暴走族が親になって、子どもにそんな漢字を当てはめるようになったんです」

〈重鎮〉は、「80年代の前半、爆音と暴走に生きたどストレートな横浜の暴走族」だった。

『金八先生』が盛り上がり、〈荒れる中学〉が全国で猛威を奮った時代である。ヤンキー漢字はそんな時代を背景に横須賀で発祥した。

 不良たちの徒党〈横須賀連合〉の傘下で、ハーフの子らが、〈ジュテーム〉や〈ピエロ〉を名乗って、大音響の排気音を立て、車両を連ね、低速蛇行して、道路を週末ごとに占拠した。

「しかし連合は、カタカナの〈ジュテーム〉なんか認めませんでした。特攻服の背中にチーム名の漢字をタテ書きにしろと。それで、〈呪諦夢〉〈非笑路〉に。〈夜露死苦〉もこっから出てきた」

――横須賀がヤンキー文化の発祥地ですか。

「いや、そこははっきりしないんです。『ヤンキー』という言葉に関しても、関西の河内弁の〈やんけぇ〉が語源という説もありますし。『おまえらしばいたろか。ここで走るな、ゆうたやんけぇ』です」

※週刊ポスト2011年9月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン