国内

子供の名前 明日咲(つぼみ)燃志(もやし)真芯(マシン)

 その昔、愛羅武勇(あいらぶゆう)、仏恥義理(ぶっちぎり)などを使ってた暴走族が親になって、子どもにそんな漢字を当てはめるようになったのだと、〈ヤンキー界の重鎮〉こと岩橋健一郎さん(45歳)は言う。「ヤンキー漢字」と近ごろの子どもの名前に相関関係はあるのか――。作家の山藤章一郎氏がリポートする。

 * * *
 いまも爆走している元気チームは〈寿辺苦絶悪〉〈阿李猫達〉など多数ある。〈スペクター〉〈アーリーキャッツ〉と読む。

 9月の土曜の夜、暴走族の聖地〈大黒埠頭〉に〈旧車會〉が現れるという話が聞こえてきた。

「埠頭のPAから生麦方面に向かったスカイウォークの先だよ」

〈旧車會〉とは、少年期に暴走族をやっていた大人が旧車と呼ばれる古いバイクを改造して乗り回す組織をいう。

〈大黒埠頭〉は物流倉庫、税関、海釣り公園を配した横浜湾に浮かぶ人工島である。西に横浜ベイブリッジ、東に鶴見つばさ橋とつながる。北に向かえば生麦に出る。

 この埠頭の第2信号交差点で、1年前の2010年秋、100台を超す改造車が約7秒間隔で次々に右ハンドルを切って、高速直角ターンをやった。5000人を超えるギャラリーが集まった。つい最近まで、〈三鬼鼠〉、〈鬼羅連合白龍〉などのチームもいた。〈ミッキーマウス〉〈キラー連合〉と呼ばせた。

 特攻服には〈天上天下唯我独尊〉の大きな金文字にならべて、

「愛死天流(あいしてる)」「喧嘩上等」、「愛国烈士」「只今参上」「走死走命」などの刺繍を縫いこむ。

〈レディース〉もいる。ロングスカートにヒールサンダルを履いてケバい化粧でキメる。喧嘩ならいつでも買ってやると、ニッカボッカや稲妻パンツを穿いて息張る女もいる。「色気殺して気合いで勝負」が合印だという。

 岩橋〈重鎮〉によれば、「ヤンキーは20歳で引退し、即結婚、即妊娠、即ヤンママになる。そして常識にとらわれたくない思いで、子どもに一般とは違う名前をつけます。〈悪嬢〉〈真芯〉」――〈おじょう〉〈マシン〉と読む。

 子どもらの次の名が読めますか。
〈明日咲〉〈燃志〉〈心夏〉――〈つぼみ〉〈もやし〉〈ここなつ〉。

※週刊ポスト2011年9月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
前回は歓喜の中心にいた3人だが…
《2026年WBCで連覇を目指す侍ジャパン》山本由伸も佐々木朗希も大谷翔平も投げられない? 激闘を制したドジャースの日本人トリオに立ちはだかるいくつもの壁
週刊ポスト
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン