スポーツ

デーブ大久保 高校時代「ヤクザにでもなろうか」と思ってた

2008年の暴行事件により球界を離れていたデーブ大久保が、2012年から楽天のコーチとして球界に復帰する。3歳4ケ月の時に心筋梗塞で父を失い、その後は母の手一つで育てられたデーブ大久保。母子の繋がりは深いものがあった――ルポライター・高川武将氏がリポートした。

* * *
貧しい少年時代だった。仕事で帰りの遅い母を待てず、生卵とのりの佃煮で冷や飯を食べた。一個の生卵を兄弟二人で分けると、先に白身がどろっと出てしまい、言い合いになった。

父親の役割もあったのだろう。母の教育手法は豪快で一本筋が通っていた。兄弟げんかをしていると、「これで殺せ」と包丁を持ってくる。高校で先輩とケンカして「学校をやめる」と言えば、「頼んで行ってもらってねえっ」と突き放した。「ヤクザにでもなろうか」と言うと、地元の親分に「日本一のヤクザにしてくれろ」と頭を下げに行ったこともある。全ては子供のためだった。

西武にドラフト1位指名され、球団が契約金4000万円を提示したとき、「貰うなんておこがましい。この子がプロ野球選手になれるなら、私は借金してでも払いたい」と言い、感動した球団側が500万円を上乗せしたという。今でも母に言われる教えがある。

「誰とも仲良く親切に」
「ゴミを拾え。徳を積むんだ」
「苦あれば楽あり。一生懸命働けば、米の飯とお天道様はついて回るんだ」

そんな母は、女性への暴行騒動のとき、息子に電話して本気でこう言っている。「博元! 頼むから、母ちゃんと一緒に死んでくれ!」だが、西武を解雇になったとき、電話口で「あんたの息子は、世間で言われてるほど悪いことはしてねえから」と言う息子に、こう言うのだった。

「そうか、たとえ人殺しでもおめえは息子だ、家族だかんな」

※週刊ポスト2012年1月13・20日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン