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脳科学者・澤口氏「繰り返し褒めることで子供は努力をする」

 人間には、「未来志向的行動力」と「社会関係力」というふたつの大きな本質があるという。「未来志向的行動力」とは目的をもって適切に努力する能力で、「社会関係力」とはいろいろな規範を身につけつつ社会でうまくいきる能力だ。

 このうちの「未来志向的行動力」について、フジテレビ系のバラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が分析。特に「努力する子供」を育てるための正しい褒め方を紹介する。

 * * *
 子供は、未来に向かって生きるために、目的をもち、本能だけでなくいろいろ学習することでその目的を達成します。例えば、大昔の男の子の目的は「狩猟が上手くなる」でした。女の子だったら「結婚して子育てをする」などです。

 狩猟や子育てはヒトにとって太古から高度な作業でしたし、現在における仕事や育児ももちろんそうです。結婚もいまでは、「婚活」という言葉があるくらいですから、やはり何らかの知恵や学習が必要なようです。

 目的を達成するための能力を身につけるには、多くの知恵や知識を努力して学習しなくてはなりません。努力するためには、「動機付け」、つまり、「やる気」が必要になります。そして、この「やる気」を起こすために、「褒める」という行為がとても重要な意味を持つのです。

 まず、子供が目的をもったら褒めます。次に目的に向かって努力したら褒めます。そして、目的に近づいてゆく度に「褒める」を繰り返すことが「褒め方」の基本になります。未来志向的行動力の原動力は「努力すること」ですから、努力していることを褒めるのが大事です。

 そうすれば、やがて褒めなくても、目的に向かって自分で努力するようになります。親が子供の幼少期に正しい褒め方をしていれば、「努力すること」が習慣づけられ、例えば、受験に際しても、自分から勉強する子供に育ちます。

 ただし、「あなたは天才ね!」とか「頭が良いわね~」という褒め方は、努力すること(やる気)を褒めているのではなく、能力自体を褒めていることになるので、やりすぎると努力しなくなる(やる気を失う)ことがわかっていますから注意してください。

「褒める」というのは、学問的には「報酬」です。好きな食べ物やモノを与えるというご褒美も悪くありませんが、やはり、言葉を使って褒めることが基本です。

 さらに、言葉だけより、抱きしめたり、頭をなでたりというスキンシップは強い信頼感を生み、より効果的であることがわかっています。ただし親を含め、信頼していない人から褒められても、子供のやる気を起こさせることはできないという事実を付け加えておきましょう。子育てには、親子の間に信頼関係が築かれていることが大前提であることは、いうまでもありません。

※女性セブン2012年3月8日号

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