ライフ

容姿に自信ない女性 「shineは『死ね』としか読めない」

 木嶋佳苗事件をきっかけに、「太った女性はモテるのか?」といった議論が巷で盛り上がっているという。作家の山藤章一郎氏が、ルックスに自信を持てない1人の女性の話を聞いた。

 * * *
 自称「ねじれ女のあたし」。子供の時分から、「キモ豚」と呼ばれ、ねじれて生きてきた。以下、22歳のあたしがネットに書き連ねた、男には窺い知れないメンタリティ。一人称。

「おういみんな、超キモ豚ここにいるぞ。あれ? 返事ない。そうか、豚だもんな、人間の言葉わかんねえもんな」

 中学の時から、毎日、まあそれはひどい言われようでした。たしかに、鼻は顔の真ん中であぐらをかき、目尻はだらしなく垂れ下がり、脚が象みたいに生まれてきた。みんなとの写真、自分のとこだけカッターで切り抜き、マジックで塗りつぶし、出生を呪いつづけ、みんな「輝く未来を」とかほざくから、シャイン シャインと英語で書いたら、(シネ シネ)shine shineとしか読めない。

 顔塗りつぶした写真、親に見つかって怒られた。このあまりにもブサイクな顔は、そもそもあんたのせいで、とまさかいえないから黙ってたら、母親、先まわりしてあたしの肩を抱きしめた。

「あんたがあんたのことを好きになってやらなきゃ、誰が好きになるの。切り取るようなブスじゃない、かわいい、かわいい」

 なんという無知で無恥な親か、誰だってこの顔ブスと思うよ。そりゃ間違いのないリアルだよ。といってやりたいが、親は、人間はみな平等であるみたいな教条主義のかたまり、運動会のリレーは毎年ビリなのに、「結果はいいの。がんばることが大事」といちいち手垢にまみれた忠告であたしゃ鼻白むばかり。挙げ句の果てにビデオ必死で回して、いたたまれない。

 大学に入るとさすがに低レベルな「豚攻撃」はなくなったが、行きたくもない呑み会出たら、「こんだけのブスだ。すぐやらせてくれるだろ」とあからさまに誘われて、「ヤラせはしない」とキツク告げてやると「ブスが、調子こいてんじゃねえ」「人助けしてやってんのがわかんねえのか」「おまえの下半身って、守るほどの価値あんのか」と。確かにこれほど醜いのだから、他人からみれば生きる価値などないに違いないと了解しているのに、体は残酷な追い打ちをかけてくる。

 男とセックスしない、できない。子作りとは無縁の人間。なのに毎月、私の体は“その日”のために血を流す。先輩の女がいう。「諦めちゃだめ。せっかく女性に生まれてきたんだから、美しくなったり、男性に好かれたりするように努力しなくちゃ」と。

 馬鹿も休み休みにしていただきたい。もしヤラせても、この顔この体に男は徐々にイラつき始め、「てめえのそのツラはどうなってんだ。ハリセンボンの春菜か」とやがて殴る蹴る。1か月我慢して、ヤリ捨てにされるか、半年辛抱して結局DVのシェルターに駆け込むか。

 お母さん、あなたを爪の先ほども恨んでいませんが、お母さん、あたし、男の人と知り合いたいけど怖い、木嶋佳苗みたいにセックスで男からおカネを巻き上げたいけどその度胸ない、結婚したいけど男の人と住みたくない、子どもを生みたいけど自信ない、だからといってキャリアを積んで社会的認知を得られるわけでもなく、ひとりでねじれて生きていきます。

※週刊ポスト2012年4月20日号

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン