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アウトレット 疲労が買い物の気持ちよさを増幅させる可能性

 御殿場、神戸、軽井沢などで人気のアウトレット、市場規模は6000億円を超える。150~200のショップが軒を連ねるアウトレットで鉄板といわれるほどの人気を博すのがスポーツメーカーのNIKEとカジュアルウェアのGAPだ。

 こうしたブランドの配置には法則があるのだという。大型商業施設の開発を専門とするダイナミックマーケティング社・国際事業部長の郷田淳氏が解説する。

「人気ブランドはモールの隅に配置するのが鉄則です。まずはメインの通路の両サイドに人気店を置く“ダンベル型”にすることでお客さんの回遊率を高めます。増床してエリアが広くなってくれば今度は“8の字型”をイメージするのです」

 実際、御殿場POではGAPがウエストスクエアの北端、NIKEはイーストスクエア北端に入っている。

 運営側はとにかく歩き回ってもらうことを企図している。

「とはいえ、人間が一気に抵抗なく歩ける距離は800メートルといわれています。場内を1周すると優に1.5キロから2キロ、場所によっては3キロくらいになるところもある。そこで、必要になるのがベンチ、パラソルです。とにかく各所に配置して心おきなく休憩してもらう。ママが買い物している時にパパと子供にくつろいでもらうためにも必要です」(コンサルタント会社・プロッド社長の田中紘之氏)

 さらに、疲労と消費行動に少なからぬ連関があると指摘するのは脳科学者の篠原菊紀教授(諏訪東京理科大)である。

「ストレスと幸福感は表裏一体です。脳内では、ストレス物質のエンドルフィンに誘発される形で快楽物質のドーパミンが分泌されます。つまり、渋滞でイライラし、場内を歩き回って疲れることが、結果的にショッピングの気持ちよさを増幅させている可能性がありますね。原理としてはマラソンでいうランナーズハイと同じです」

 運営会社やショップがそこまで計算しているかどうかは定かでないが、「ショッパーズハイ」があるのだとしたら、コンシューマービジネスに従事する人にとっては、無視できないデータとなるに違いない。

※週刊ポスト2012年5月25日号

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