国内

石巻“猫の島” 魚が獲れずキャットフードに頼らざるを得ない

 3.11東日本大震災の被災地、宮城・石巻市は、コラムニストの木村和久さんが高校卒業までを過ごした地。木村さんが、縁ある人々の安否を自身の足で尋ねながら、震災直後から現在の状況までをレポートしている。今回は“猫の島”として全国的に有名になった離島、田代島に向かった。

 * * *
 田代島へは、北上川から連絡船に乗って40分ほど、船は1日3便出ています。人口100人未満の島でも、大泊と仁斗田とふたつの港があり、昔は結構な賑わいだったのでしょう。

 仁斗田港に着くや、さっそく沢山の猫がお出迎えと思いきや、黒い猫が1匹だけ、いかにも当番でございという感じで鎮座していました。港の入り口には、板で作った猫の家もあり、2~3匹が道をわが物顔で歩いています。けど、猫の島ってほどじゃない。

 仕方なく集落を歩くや、どこからともなく猫の鳴き声が。その民家の隙間を覗くと、いました、猫の秘密基地。沢山の猫が食事をしているではないですか。

 そこの民家のおばちゃんに断りを入れて、写真を撮らせてもらうことに。この家では、猫にエサをやって30年になるそうです。ボス猫は垂れ耳ジャックといって、すでに亡くなっていますが、その子孫が大半を占めているそうな。

 おばちゃんちの猫はだいぶ人なつっこく触っても逃げません。もう写真撮りまくり、触りまくり、たまりません。田代島では2軒ほどが猫の世話をして、面倒を見ているそうです。過疎の島で以前より魚が獲れないゆえ、キャットフードに頼らざるをえないとぼやいてました。

 そもそも田代島には猫神社があり、昔から猫を大事にしている風潮で、その理由もあって猫が増えたそうです。

 2000年には、石ノ森萬画館の流れで、この島をマンガアイランドとして売り出し、ちばてつや先生や里中満智子先生などが描いたロッジなども作り、大々的に観光誘致をしました。いまは震災の影響もあり閉館中、インフラ整備からやり直さねばなりません。

 帰り道、週末だけでもと若い人たちがバザーを開いて、お土産を並べていました。クリアファイルには、いまは亡きジャックの写真が。耳が垂れふてぶてしいボス顔をしていますね。懐かしき「ふのり」も置いてありました。これを味噌汁に入れて食べるとおいしいんですよ。

 こんなに猫と戯れて遊べるところは全国的にないでしょう。島全体が巨大な猫喫茶だと思えばいいんです。是非是非石巻の観光復活のためにも、一度田代島へ来てくださいね。

※女性セブン2012年6月21日号

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