ライフ

投稿雑誌伝説の編集長「女教師」訪ねてみたら八百屋のおかみ

 素人投稿が人気の雑誌『ニャン2倶楽部』。伝説の編集長と称される夏岡彰氏がこの雑誌を創刊したのは、20年ほど前になる。「まさか20年も雑誌が続くとは……」と語る夏岡氏が振り返る。

 * * *
 私はこの雑誌を1990年に創刊する前、ピンク映画の雑誌を作っていたんです。でも、撮影するモデルがニッコリパッチリしていて、そのリアリティのなさに不満を感じていました。
 
 そんなある日、甲子園のチアガールを撮っているマニアの人たちと仲良くなったんです。写真を見せてもらうと素人は綺麗じゃないけど生々しさがあるなァと思った。
 
 試しに素人投稿コーナーを別の雑誌に作ったら投稿がくるわくるわ。当時、使い捨てカメラが普及していたのも大きかった。写真を撮ったはいいけど現像できない。ならば編集部にカメラごと送ってしまおう、と。これはブームになると思って会社に企画書を提出しました。
 
 男性からの投稿には、自分のパートナーを辱めたい、さらし者にしたいという意味合いでのサディスティックな興奮もあるだろうし、ピュアに見れば、自慢したいとか、こんなことまでしてくれるんだぞっていう「見せたい願望」もあるんでしょう。
 
 でもこの20年、色んなことがありましたよ。
 
 女教師と名乗る女性からの投稿をよく頂いていたんですが、取材で彼女の家を実際に訪ねてみると八百屋のおかみさんだった。エッチな時間だけは変身したかったんでしょう、ある種の架空の存在にね。
 
「自分の妻が掲載されている」といって編集部に乗り込んできた方もいました。「妻が浮気している証拠をやっと突き止めた」と。でも目線のない生の写真を見せてあげると「あっ、違うわ」だって。まずは自分の妻に聞いてほしかった。
 
 苦労も絶えないですが、それでも編集に携わり続けたのは、読者との関わり合いに魅力を感じたから。投稿者から、今度こういうことをしてみたいんですけど、と相談があって、それならこんなプレイにしたらどうか、と提案する。奥さんはもっと生足を見せたほうがいいですよ、とね。
 
 気付いたら、読者との共犯関係ができちゃっていたんですね。

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン