ライフ

高齢者の恋愛「出会い系からスタート」かなり多いと識者指摘

 草食男子、セックスレスなんて関係ない。いま熟年世代の恋愛と性が注目されている。そこには「老いらくの恋」などとは呼ばせない、人生最後の恋に賭ける高齢者の熱い姿がある。熟年世代の恋愛と性について長く取材活動を続けている作家の小林照幸氏に「熟年の恋愛・性について、現状とこれから」を聞いた。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *
--小林さんは著書「熟年性革命報告」(2000年、文春新書)から最新刊の「アンチエイジングSEXその傾向と対策」(2011年、同)まで、12年の長きに渡り熟年世代、高齢者の恋愛と性について取材、4冊の著書を執筆されています。取材当初から今までのうちで大きな変化はなんでしょうか。

小林 携帯電話やパソコンの普及により、「出会い」の形が多様化してきたことですね。私が取材した当初は老人ホームに携帯を持っての入所は考えられなかったし、パソコンなんて誰も使えなかった。ところが今は高級老人ホームになると、居室ごとにLAN端子があるなんて当たり前です。パソコンの使用が老人ホームの入所者のADL(日常生活動作)の向上につながる、という見方も当たり前になりました。

 「出会い」の形にしても、以前はホームの入居者同士だったのが、今は統計を取ると「出会い系サイトで」という人がかなり多い。異性を求める姿勢が非常に積極的なんですよ。またコンタクトにしても、家族目を気にしながら家電話を使う必要もなく、携帯でダイレクトに取れるから、関係が進展するのも早い。

--小林さんの4冊の著書を拝読すると、「お年寄り=枯れた」というイメージががらりと変わる。彼と彼女らの「原動力」はなんでしょうか。

小林 70代以上の方たちの「パートナー」といえば夫婦しかなかった。それも親の勧めや職場でお見合いを勧められて、みたいなパターンで結婚している人が多い。お互いの価値観・趣味が共通したからという出会い方は我々からすれば普通なんですが、逆にこの世代には新鮮なので盛り上がるんです。

 セックスにしても、若い頃のようにいつでも何回でもというわけにはいかない。その都度の1回1回が「人生で最後かも」という想いがあるから、尊くて情緒深くなるんです。

--不倫など婚外者とのセックスも多い。前出の「アンチエイジングSEX」での小林さんのアンケートによると、「旦那様が海外出張中にチャットで知り合った6歳年下の彼と三日間体を重ねました」(67歳女性)とか「同級生と。同じ病院に通院、帰りにホテル」(75歳男性)など、驚くばかりです。

小林 地域ボランティアの会合で知り合った、という例もありました。「不倫とか自分には関係がない」と思い込んでいる人ほど、ある日突然の出会いに燃え上がっちゃう。アンチエイジングという考え方が2003年ぐらいから広まってきて、「恋愛とセックスを楽しんでいれば、いつまでも若くいられる」という思考になってきているんですよ。実際、私が会って取材した人は皆さん、実年齢よりも若く見えますからね。

 高齢者福祉の世界では「QOL」ということが盛んに言われています。「Quality Of Life」の略で、ただ生きているだけでなく、老後生活の充実を目指す言葉です。私はこの「Life」が今や「Love」じゃないかと考えているんです。高齢化社会の恋愛をいま考える時期なんです。


関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト