国内

安倍自民 野田民主と徹底的に対決の姿勢出せるかが鍵と識者

 自民党では安倍晋三新総裁による新体制が発足し、いよいよ政権を目指した動きが本格化してきている。安倍氏の至近距離で取材を重ねる長谷川幸洋氏(ジャーナリスト)と鈴木哲夫氏(BS11報道局長)が、安倍自民の政権戦略について語り合った。

長谷川:次の政権についていえば、安倍がどこと組むかが争点になる。彼ははっきりと「民主党とは組まない」といっています。

 衆議院で240議席取らないと政権はできない。選挙で仮に自民が170だったら、あと70議席が必要になる。公明党だけでは無理でしょう。維新の会やみんなの党が視野に入ってきますが、(親・霞が関の)石破茂や石原伸晃を取り込んだ上で、それらと組めるかどうか。それは、まさに安倍自民が改革政党になれるかどうかと表裏一体です。

鈴木:安倍自民を中心に見ればそうですが、第三極の側に立つとまた違った見え方になる。維新の会やみんなの党、国民の生活が第一、減税日本、新党大地という“オリーブの木”は、自民党総裁選のお祭り騒ぎの間のこの1か月間、各党間でいろいろな接触を行なっていました。「生活」やみんなの党の番記者まで民自の党首選取材にかり出されたから、第三極の人たちはみな「ノーマークで動ける」って喜んでましたよ。

長谷川:維新は8月20日に(みんなの党の)渡辺喜美と決別したときが一つのピークだったと思う。以来、支持率は急落している。それまでは維新がどこと組むかだったが、いまは誰に組んでもらうかという選ばれる立場になった。

鈴木:たしかに、これまでは維新が他党に踏み絵を踏ませていたが、立場が逆転しつつある。維新抜きの“オリーブの木”側は、まず自分たちをしっかり固めて、維新に「われわれと組みたいならそちらから来ればいい」と、「逆」踏み絵を踏ませる戦術に変えつつある。

長谷川:そもそも維新の会自体が一枚岩ではない。

鈴木:橋下徹・大阪市長と松井一郎・大阪府知事も微妙に気を遣い合う関係ですから。松井はとりあえず「安倍自民とは組まない」といっているが、彼の首から下はほとんど自民党。一方の橋下は全方位外交。維新が分裂する可能性もありえると思います。

長谷川:安倍の真価はすぐに問われます。まず党首会談で「安倍自民は谷垣自民と違う」というメッセージをどれだけ出せるか。野田民主と徹底的に対決する姿勢を示せるかどうか。リトマス試験紙は特例公債法案です。

 野田にとってはのどから手が出るほど成立させたい法案ですが、安倍からすると倒閣の最後の切り札になる。ここで安倍が突っぱねると、政局は一気に流動化してきます。逆に谷垣自民路線を引きずるようだとインパクトがない。

鈴木:結局は官僚寄りの党内勢力をどう抑え込めるか。安倍や彼の周辺には、かつての安倍政権時代のリベンジを果たしたいという気持ちが強いようだが、うまくいくのかどうか。

長谷川:改革志向を打ち出せないと、安倍自民は厳しくなる。総裁選で上向いた自民への支持率も頭打ちになるのではないか。国民はしっかり見ています。

(文中敬称略)

※週刊ポスト2012年10月12日号

関連記事

トピックス

佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着を露出》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
水原一平とAさん(球団公式カメラマンのジョン・スーフー氏のInstagramより)
「妻と会えない空白をギャンブルで埋めて…」激太りの水原一平が明かしていた“伴侶への想い” 誘惑の多い刑務所で自らを律する「妻との約束」
NEWSポストセブン
福井放送局時代から地元人気が高かった大谷舞風アナ(NHKの公式ホームページより)
《和久田麻由子アナが辿った“エースルート”を進む》NHK入局4年で東京に移動『おはよう日本』キャスターを務める大谷舞風アナにかかる期待
週刊ポスト
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
《豊田市19歳女性刺殺》「家族に紹介するほど自慢の彼女だったのに…」安藤陸人容疑者の祖母が30分間悲しみの激白「バイト先のスーパーで千愛礼さんと一緒だった」
NEWSポストセブン
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン