スポーツ

日ハムGM「大谷は現時点で投手より打者としての完成度高い」

 10月25日に行なわれたドラフト会議では、花巻東高校の160キロ右腕・大谷翔平に多くの注目が集まった。北海道日本ハムファイターズから指名されたものの、メジャー挑戦を表明した彼は一体どんな選手なのか。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 花巻東監督の佐々木洋は「しばらくは雄星(菊池雄星・現埼玉西武ライオンズ)のように怪物と呼ばれるような選手とは出会わないでしょう」と話していたが、すぐに同等以上の才能が入学し驚いていた。

 入学時、佐々木と大谷が交わした目標は160キロのストレートだった。その後、目標は上方修正された。

「雄星を超えようと思っていたら雄星以上にはなれない。160キロを目指したら158キロぐらいにしか届かない。163キロを目標にしよう」

 佐々木がそう大谷に伝えた時、既に大谷はウエイトルームの壁に「163キロ」の目標を紙に書いて貼っていたという。

 高校生最速となる160キロを達成したのは、今夏の岩手大会準決勝だった。それまで甲子園に2度出場し、1勝も挙げられていない投手がドラフトの行方を左右するほど注目を集めたのは、この記録達成があったからに他ならない。

 しかし、決勝で敗れ最後の夏は甲子園のマウンドに立つことはなかった。

 親元を離れたおよそ2年半の日々、両親が最も心配したのは、大きく成長を続ける大谷の身体だった。大谷は2年夏から今冬にかけて、成長痛に苦しみ練習ができない時期があった。母・加代子が振り返る。

「入学時はえんぴつみたいな細い身体で、体力もなかった。試合にはすぐに出させてもらいましたが、月に一度は風邪を引いたり熱を出したりしていた。親としては心配ですが、あの子が弱音を吐くことはありませんでした。

 それほど遠い距離でもないのに、夏に引退するまで翔平が実家に帰ってきたのはわずか3回ぐらい、それも一度は震災の時で……。成長痛の時もこっちがいくら『どうなの?』と電話で聞いても『大丈夫、大丈夫』って。私たちはあの子の状態を他の親御さんから聞いていたんです」

 大谷を強行指名した日ハムは、当該年のナンバーワン選手を獲りに行くのがドラフトの方針(だからこそ昨年も菅野を強行指名)だが、山田正雄GMは9月に韓国で行われた18U世界選手権を視察した際、大谷の評価についてこう話していた。

「投手としても、打者としても魅力ですが、現時点では打者としての方が完成度が高い。高校通算56本塁打のパワーがあるし、何よりスイングスピードが速い。だから広角にも打ち分けられるし、ミート力もある」

 だが、プロでは投手として挑戦することを大谷は決めている。

※週刊ポスト2012年11月9日号

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン