ライフ

インスリン 長寿と関係あり、がんの予防には味噌汁や納豆を

 アンチエイジングの第一人者として、『100歳までボケない101の方法』の著者である白澤卓二順天堂大学教授によると、「インスリン」で寿命も変わるのだという。

 * * *
 インスリンと聞くと、多くの人が糖尿病を連想するだろう。膵臓のβ細胞がインスリンを分泌しなくなる場合は「1型糖尿病」、分泌が低下しなくてもインスリンの効きが悪くなることで発症する場合は「2型糖尿病」と呼ばれている。厚生労働省の健康・栄養調査(2007年)では、全国で糖尿病患者は890万人、糖尿病の予備軍は1320万人で、合計2210万人に達し、そのほとんどが2型糖尿病である。

 慶應義塾大学の広瀬信義博士らの研究によると、100歳以上の「百寿者」には糖尿病とパーキンソン病が極端に少ないことが明らかとなっている。その理由は、糖尿病もパーキンソン病も、いったん病気を発症すると100歳まで生き延びる可能性が極めて低いためと考えられる。実際、糖尿病患者の平均寿命は糖尿病を発症していない人に比べて男性で9.6年、女性で13年も短いことが知られている。

 それでは、インスリンと寿命とは、どのような関係があるのだろうか? 高齢者でインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)を調査すると、90歳以上の人でインスリンの抵抗性が急に改善して(インスリンが効きやすくなって)いることが明らかとなっている。一見すると、「90歳になったら糖尿病が治る」と錯覚してしまいそうな結果だが、実際には、もともとインスリンの効きが良い人だけが90歳以上まで生き延びていることを示唆している。

 となると、インスリンの効きをよくすることが長生きの大きな一歩となることがよくわかる。具体的には、三浦敬三さんの食卓にあったような玄米、みそ汁、納豆、野菜、根菜、海藻などの食材を選べば、がんの発症リスクを減らすことができそうだ。また前々回、このコラムで紹介した、糖質(炭水化物)を制限する「ケトン体ダイエット」も空腹時のインスリンの濃度を抑える結果が出ている。お勧めしたい。

※週刊ポスト2012年12月7日号

関連記事

トピックス

佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン
東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン