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2012.12.13 07:00  週刊ポスト

強者にすり寄らず弱者によって立った角栄を森永卓郎氏が絶賛

 衆院選投票日を目前に控え、「週刊ポスト」では各界の識者に日本史上最高のリーダーというテーマで緊急アンケートをとった。経済アナリストで獨協大学教授の森永卓郎氏は、今から約40年前、「今太閤」と呼ばれブームを巻き起こした田中角栄を選んだ理由を語った。

 * * *
 金権政治批判がつきまとった田中角栄元首相ですが、私は、「格差を縮めて、日本の平等主義の原点をつくった政治家」として高く評価しています。むしろ田中角栄のような政治家がいないことを嘆いているほどです。

 田中角栄は29歳で衆院選に初当選し、39歳での郵政相(現総務相)を皮切りに、出世の階段を昇っていきました。首相に就任したのは、54歳の時です。

 田中角栄という政治家は、実は、政治家になって以来、その信念が首尾一貫しているんですね。それは、年寄りから赤ちゃんまで、等しく幸せな社会をつくる、ということです。これは出身地の新潟という環境が影響しています。

 当時の新潟は雪深く閉ざされ、冬になると一家の大黒柱は都会に出稼ぎに出ました。当然、家族はバラバラです。何とか、家族一緒に幸せに暮らせないものか。そう考えた田中角栄は、全国に高速道路を通したのです。これによって、全国の物流が完成しました。

 著書『日本列島改造論』にはこうあります。

<工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる“地方分散”を推進することにした>

 公共事業は、何かと批判される対象ですが、田中角栄は公共事業によるお金のバラマキを目的にしていたわけじゃないんですね。目線の先には、「地方の福祉」があったのです。これで、冬の出稼ぎはなくなっていきました。

 年金もそうです。田中内閣の時代に「福祉元年」と銘打って、今まで支払っていない人にも年金を支給するようになりました。彼のお陰で、今の年金のカタチがある。

 政策への批判はありますが、年金のない日本、高速道路のない日本を、想像できませんよね? だって私たちの生活は、そこに支えられているんですから。

 田中角栄がよって立ったのは、「地方」のような、常に社会的弱者でした。弱者の立場から、すべてを発想したのです。

 このあたりが、今の政治家にはない発想です。橋下徹さんも大都市大阪、石原慎太郎さんも東京、安倍晋三さんも選挙区は山口ですが、生まれも育ちも東京です。小泉純一郎元首相も野田首相も首都圏の出身。彼らは、大都市――強者の立場から政治を発想しているんですね。

 外交でもそうです。田中角栄はアメリカという強者にすり寄ろうとせず、例えば日中国交回復など、他の国に目を配りました。これも平等思想のなせるわざでしょう。

※週刊ポスト2012年12月21・28日号

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