ライフ

南雲医師「がんは呪うものではなく生活を変えるチャンス」

 誰もが心配する「がん」。しかし、がんとは一体どういうものなのか、詳しいことまでは知らない人もいいはず。そこで、医学博士で乳腺専門医の「ナグモクリニック」総院長の南雲吉則先生が、「がん」が何なのかを解説する。

 * * *
 ミミズは、口からお尻まで1本の管でできているよね。ぼくたちの体も、消化管や気管、血管といった管でできていて、管の表面は粘膜で覆われているんだ。暴飲暴食や喫煙などの不摂生をすると、その粘膜が傷つく。すると、傷のまわりの粘膜が細胞分裂して、傷をふさいでくれる。これがいわゆる“自然治癒力”だね。

 それでも懲りずに不摂生を続けると、細胞分裂が限界に達してしまい、それ以上傷をふさげなくなるんだ。そのとき、限界に達した細胞に代わって、傷口を修復するために無限に分裂することができる修復細胞が現れる。この救世主の名を、がん細胞というんだね。

 というと皆さん、なぜ修復細胞が我々の命を奪うのか、不思議に思うよね。がんになった後も不摂生を続けると、傷はますます大きくなって、がん細胞は、大きくなった傷をふさぐために細胞分裂し続けなければいけないんだね。

 ぼくたちは、住んでいる家が狭くなったら建て増しや引っ越しをするよね。がん細胞も、大きくなって居場所がなくなったら、隣の臓器に建て増しをするんだ。これがいわゆる“浸潤”。遠くの臓器に引っ越しすることもあるんだけど、これを、“遠隔転移”と呼んでいるんだよ。

 がんは不摂生によって傷んだ体を救うために現れたものだから、けして悪者ではないんだよ。もしがんになっても、がんを呪うのではなく、生活習慣を改めるきっかけと捉えるといいかもしれないね。

「私を助けようと思ってがんばってくれたんだね。でももういいよ。私は生活習慣を改めたから。ご苦労様」と、むしろがんに感謝して、がんになった自分の行いと心を改め、生活習慣を改善すれば、がんの勢いは治まるはず。がんは生き方を変える道しるべ。自分自身の生き方をいい方向に変えていく、チャンスなんだよ。

※女性セブン2013年3月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
引退すると言っていたのに誰も真面目にとりあっていなかった(写真提供/イメージマート)
数十年続けたヤクザが引退宣言 知人は「おめでとうございます」家族からは「大丈夫なのか」「それでどうやって生きていくんだ」
NEWSポストセブン
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト