国際情報

中国・李克強首相が過去に書いた「日本愛の手紙」を紹介する

 中国の全人代(全国人民代表大会)で、習近平・国家主席体制が発足した。その対日外交のキーマンが、習氏とはライバル関係にあるナンバー2の李克強・新首相といわれる。緊張が高まる日中関係の中で、李氏は日本にとって歓迎できる人物か否か。それを推し量る貴重な資料を入手した。

 中国の対日挑発がエスカレートしている。全人代では楊潔チ・外相(当時)が「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土であり、日本がこれを盗み取り、占拠している」と言い放った。このまま中国は反日一色に染まるのか――。

 注目は、習近平・主席と並び立つ李克強・首相の存在だ。李氏は学生時代から来日を重ね、小沢一郎氏の私邸に書生としてホームステイしたことがあるほどの知日派である。だがその実、彼の対日観が公にされることはこれまでなかった。

 本誌は、李氏が30年前、日本に旅立つ親友に宛てた手紙を入手した。この手紙には、これまで封じられてきた、李氏の日本に対する本音がはっきりと明記されている。

 手紙の相手は、北京大学在学中に寮の同室だった謝恩敏氏という人物。謝氏が1982年に神戸大学に留学する際に、李氏が送ったものだ。李氏はこう綴っている。

〈日本人は向上心に富んだ民族です。日本に行ったら専門分野ばかり学ぶのではなく、日本の民族精神と文化背景について学ぶことに更に多くの時間を割くべきです。日本人は常々、東西の文化を有機的に結び付けたことを誇りにしていますが、日本人はどのようにしてそれをやったのでしょうか。これについては理性的に研究するばかりでなく、感性をもって知ることが大切です〉

 意外なほど率直に、日本を高く評価している。謝氏は日本留学後、日本企業の中国進出に関するコンサルティング業務を手がけるようになり、現在も李氏と強いパイプを持つ。

 この手紙は昨年10月31日、ホテルオークラ東京で行なわれた日中国交回復40周年記念パーティの壇上で一部が紹介された。招待を受けた謝氏が、李氏の了解を得て代読したもので、パーティには、駐日大使館の関係者や福田康夫・元首相、海江田万里・現民主党代表らが出席し、尖閣問題で冷え切っていた日中関係の回復を図った。李氏は30年前の手紙を、日本へのメッセージとしたのだ。

 謝氏からこの手紙を預かったジャーナリストの宇田川敬介氏はいう。

「李氏は、中国は日本と交流することで先進国に追いつくべきだという価値観を持ち、自身も在学中から日本を頻繁に訪れ、小沢氏らと交流を持ちました。手紙の紹介にあたり、李氏は謝氏に対して、『私の気持ちは、この手紙の時と変わらない』と言付けしている。これは李氏から日本に向けたサインと見ていいでしょう。習体制が反日といっても、知日派の李氏がブレーキ役を担うと期待されます」

 だが、李氏が知日派といっても、油断はできない。先の手紙はこう続く。

〈しかし、民族を絶滅しようとしたあの戦争のことを忘れてはいけない。歴史の教訓を汲み取ることは決して復讐のためではなく、歴史が繰り返されることを防ぐためです〉

 この気持ちも「変わらない」とするなら、李氏も靖国問題などで妥協するつもりはないということだ。中国の新たな双頭体制は、時に衝突し、時に手を握りながら、日本と対峙しようとしている。

※週刊ポスト2013年3月29日号

関連記事

トピックス

米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
アメリカのトランプ大統領と、グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表(左/EPA=時事、右/Instagramより)
〈国家が消されるかも…〉グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表からのメッセージ “トランプによる併合”への恐怖「これは外交交渉ではない」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
《一体今は何キロなのか…》菅義偉元首相が引退を表明「健康状態は全く問題ない」断言から1年足らずでの決断 かつて周囲を驚かせた“10キロ以上の激ヤセ”
NEWSポストセブン
“メンタルの強さ”も際立つ都玲華(Getty Images)
《30歳差コーチと禁断愛報道》女子プロゴルフ・都玲華、“スキャンダルの先輩”トリプルボギー不倫の先輩3人とセミナー同席 際立った“メンタルの強さ”
週刊ポスト
相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
《周囲の席には宮内庁関係者がビッチリ》愛子さま、特別な一着で「天覧相撲」にサプライズ登場…ピンクの振袖姿は“ひときわ華やか”な装い
NEWSポストセブン
女優のジェニファー・ローレンス(dpa/時事通信フォト)
<自撮りヌード流出の被害も……>アメリカ人女優が『ゴールデン・グローブ賞』で「ほぼ裸!」ドレス姿に周囲が騒然
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
「菅さんに話しても、もうほとんど反応ない」菅義偉元首相が政界引退…霞が関を支配した“恐怖の官房長官”の容態とは《叩き上げ政治家の剛腕秘話》
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーがマンU主将から「発散させてくれ」に逆オファーか(左/EPA=時事、右/DPPI via AFP)
「12時間で1057人と行為」英・金髪インフルエンサーに「発散させてくれ…」ハッキング被害にあったマンU・主将アカウントが名指し投稿して現地SNSが騒然
NEWSポストセブン