国内

堺市「第2の角田美代子事件」 元ヤクザと称し暴力で支配した

 大阪府堺市で「第2の角田美代子」事件ともいうべき事件が発生していた──。大阪府警は6月5日、大阪府堺市の北川睦子さん(享年69)の死体を遺棄した疑いで、同市の無職・南政宏容疑者(56才)、池田和恵容疑者(57才)、韓国籍の李誠二容疑者(45才)の3人を逮捕した。容疑者は全員、北川さんの自宅近隣で暮らしていた。

 翌6日、容疑者たちの供述をもとに捜索すると、奈良県十津川村の山中で北川さんの遺体が発見された。遺体は、ごみバケツに入れられ、約100kgのセメントで固められた状態だった。胸部を激しく殴打されたのか、肋骨が複数折れており、呼吸困難に陥って窒息死した可能性が高いという。

 そして6月11日、北川さんの死体遺棄事件で、4人目の逮捕者が出た。岩本孝子容疑者(63才)だ。池田容疑者や南容疑者が「岩本に命令された。彼女が怖かったから言うとおりにした」と供述するなど、今回の死体遺棄を指示したとされる事件の首謀者とみられている。

 北川さんと岩本容疑者は数年前からの知り合いで、ふたりでスナックに飲みに行くこともあったという。しかし昨年3月、北川さんの夫が亡くなったことで、その関係が一変する。

「岩本が、北川さんのもらってる遺族年金に狙いをつけたんや。彼女自身の年金も合わせてひと月20万円位のもんやけど、岩本は生活保護やったからそれが羨ましかったんや。池田も南も無職やし、初めて見つけた“金ヅル”やったんや」(北川さんの知人)

 そして昨年の8月、些細な出来事がきっかけで、北川さんは岩本容疑者に恫喝される。

「北川さんが居酒屋で酔っぱらって“何いうてるの~”と関西のノリで、岩本の頭を軽くはたいたんよ。すると岩本は、“頭が切れたやないか! どないしてくれんねん! 治療費出さんかい!”とすごい剣幕で急に脅し始めたんや。北川さん、いきなり怒鳴られて、“すんません、すんません”って泣いとったわ…」(前出・北川さんの知人)

 この時、治療費の名目で北川さんから数十万円取ったという岩本容疑者。以来、徹底的な暴力支配と年金搾取が始まったという。

「岩本は飲み屋のツケ払いをそれまでの月末から15日に変えた。北川さんの年金支給日が毎月15日だから、それで払うようになったんや。毎月やで。金が足らんと彼女はボコボコに殴られてな。顔面がパンパンに腫れあがって、右耳が潰れて形がなかったこともあった」(前出・北川さんの知人)

 やがてアパートの家賃も払えなくなった北川さんは、岩本容疑者と同じアパートに引っ越したのだが、なぜこんな状況でも、岩本容疑者の元を離れられなかったのか。

「夫を亡くして頼れる人もおらんくて、他に行けるところもなかったんや。お金も握られてるから逃げることもできん。それに岩本は昔、ヤクザのしのぎみたいなことやっとったらしくて、“逃げたら何されるかわからん”って。これは池田も南も言うとった。みんな恐怖で支配されて身動きできんようになってた」(前出・北川さんの知人)

 収入をすべて取り上げ、「元ヤクザ」と称して相手を脅し、手下の人間を使って暴行を加え、食事や睡眠も制限させる…。そうやって恐怖心を植え付けて相手を服従させたのが尼崎の連続不審死事件の元被告・角田美代子(享年64)の手口だが、岩本容疑者の一連の行為は、これに重なる部分が多い。彼女は、まさに“第2の角田美代子”といえよう。

 現在、取り調べの最中である岩本容疑者。「死体を捨ててこいなんて指示していない。“もし私が犯人だったら、静岡の樹海に捨てる”と何気なしに言っただけ」そんな話をしながら、自身の関与を全面的に否定しているという。

※女性セブン2013年7月4日号

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン