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少女マンガではトキメキの設定「偽装恋愛」がテーマの作品

【マンガ紹介】文/横井周子

「偽装恋愛」――スキャンダラスな言葉ですが、少女マンガではトキメキに直結する王道シチュエーションのひとつなんです。恋人のふりをしているうちに本気になっちゃったかも、という揺れる距離感が見どころ。今回はそんな偽装恋愛を扱う注目の新連載をご紹介します。

 まずはコミックスのカバーに「永久就職」「派遣切り」「高齢童貞」「契約結婚」などの文字が躍る、海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社)。海野つなみといえば、清潔感あふれる硬質な絵柄で、近親相姦などの刺激的なモチーフもあっさり描いてしまう独特の才能の持ち主。その新作『逃げ恥』のテーマは、「不況時における契約結婚」です。

 派遣切りにあい、再就職もうまくいかないみくりは、父親の部下・津崎のハウスキーパーをすることに。快適な関係を築いたふたりはビジネスとしての「契約結婚」を決意します。真面目で几帳面、たぶん高齢童貞の津崎さん。

 いわゆる少女マンガの王子様タイプではありませんが、いくつかのピンチを乗り越えて、みくりに少しずつ心を開いていく姿は、萌え心をくすぐります。契約結婚は、面倒な金銭問題や世間体も最初から織り込み済み。ロマンチックな激しさはありませんが、パートナーとして息の合ったふたりになんだかホッとする不思議な味わいのマンガです。

 小玉ユキ『月影ベイベ』(小学館)は、「おわら」という伝統芸能を踊り伝える富山県の小さな町を舞台にしています。

 おわらが大好きな光は、東京からの転校生・蛍子が見事に踊るのを目撃。彼女に惹かれていきますが、蛍子と光の伯父にはいわくありげ…。伯父に変な噂が立たないよう、光は蛍子に「俺たち つき合っとるふりしよ」と言い出すのでした。

 しっとりとした風景や空気感もたまらないのですが、踊りのシーンがとても魅力的な本作。男だけの踊りも、蛍子の水のような柔らかい踊りも、息をのむような美しさ! 初めての恋の予感に満ちた『月影ベイベ』の爽やかな偽装恋愛。続きが気になります。

※女性セブン2013年8月15日号

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