芸能

山崎豊子さん 体力落ち口述筆記になっても遺作を書き上げた

 9月29日、作家の山崎豊子さん(享年88)が心不全のために亡くなった。膨大な取材と実地調査に基づいた社会派の長編小説を相次いで発表。大学病院の腐敗を描いた『白い巨塔』や、日航機墜落事故を題材にした『沈まぬ太陽』など、作品が世に出るごとに大きな反響を呼び、その多くがドラマや映画となった。

「山崎さんは、1作品書き上げるたびに“もう作家をやめる”と言っていました。取材対象者を200時間以上インタビューするなんてこともザラで、他の作家と比べても圧倒的な取材量でしたから、その分、精神的、肉体的な負担も尋常ではなかったんです。

 でも、“やめる”と言うたびに、恩師であり新潮社の名物編集者・斎藤十一さん(享年86)に“作家は棺に入るまで書き続けろ。書くのをやめたら、お前は終わりだ”と諭されて、再び書き始めるんです。彼女の人生は、その繰り返しでした」(山崎さんの知人)

 5年前からは歩行が不自由になるとともに、全身に激痛が走る原因不明の疼痛症に悩まされ、車椅子生活を余儀なくされていた。

 遺作となったのは、8月から『週刊新潮』に連載中の小説『約束の海』。冷戦期の海上自衛隊員の物語である。

「山崎さんは、痛みに耐えながらも山のように積み上げた資料を読み、体調が良いときには自ら車椅子で駆け回り、関係者に取材していました。また体力が落ちてペンも思うように扱えなくなったため、筆圧がなくても書ける細い筆ペンを用意して、自らの力で書くことにこだわっていました。最後は、ペンを持てなくなり、口述筆記になることもありましたが、“どんなことをしてでも書き上げる”という山崎さんの執念を感じました」(前出・山崎さんの知人)

 そんな山崎さんが息絶えたのは、『約束の海』の20回分の原稿を全て書き終えたすぐ後のことだったという。

※女性セブン2013年10月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん(2025年5月)
《英才教育》小室眞子さんと小室圭さん、コネチカット州背景に“2人だけの力で”子どもを育てる覚悟
NEWSポストセブン
アントニオ猪木さん
アントニオ猪木を看取った付き人が明かす「最期の2か月」 “原辰徳の物まねタレント”が猪木を介護することになった不思議な巡り合わせ
週刊ポスト
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
【ステーキの焼き方に一家言】産後の小室眞子さんを支えるパパ・小室圭さんの“自慢の手料理”とは 「20年以上お弁当手作り」母・佳代さんの“食育”の影響
NEWSポストセブン
不正駐輪を取り締まるビジネスが(CPGのHPより)
《不正駐輪車を勝手にロック》罰金請求をするビジネスに弁護士は「法的根拠が不明確」と指摘…運営会社は「適正な基準を元に決定」と主張
NEWSポストセブン
「子供のころの夢はスーパーマンだった」前田投手(時事通信フォト)
《ワンオペ育児と旦那の世話に限界を…》米国残留の前田健太投手、別居中の元女子アナ妻が明かした“日本での新生活”
NEWSポストセブン
眞子さんと佳子さま(時事通信フォト)
《眞子さん出産発表の裏に“里帰りせず”の深い溝》秋篠宮夫妻と眞子さんをつないだ“佳子さんの姉妹愛”
NEWSポストセブン
田中容疑者の“薬物性接待”に参加したと証言する元キャバクラ嬢でOLの女性Aさん
《27歳OLが告白》「ラリってるジジイの相手」「女性を切らすと大変なんだ…」レーサム創業者“薬漬け性接待”の参加者が明かした「高額報酬」と「異臭漂うホテル内」
週刊ポスト
宮内庁は小室眞子さんの出産を発表した(時事通信フォト)
【宮内庁が発表】眞子さん出産で注目が集まる悠仁さま成年式「9月ならば小室圭さんとともに出席できる可能性が大いにある」と宮内庁関係者
NEWSポストセブン